瞳の中の暗殺者04

「いってきま〜す!」

コナンは元気よく挨拶をして外に出ると、探偵事務所から見ていた園子が「行った行った!何にも知らないで」と言う。

「さあ、俺たちも出かけるか」

小五郎達が高木の車に乗り込む。

「おはようございます、毛利さん、蘭ちゃん、園子ちゃん」
「名前刑事!」
「名前君、ケガは大丈夫なのか?」
「もう大丈夫ですよ!ご心配おかけしました!」

名前がそう言って笑うと、小五郎は安心したように笑う。
高木が運転する車の後ろからは、阿笠の運転する車に乗り込んだ少年探偵団の4人がついて来ていた。



しばらく車を走らせていると、トロピカルランドに到着。

「私、ここ覚えてる」

蘭は、トロピカルランドにあるお城を見るとそう言った。

「たしか新一のヤツ、おまえと来た時ジェットコースター殺人事件を解決したんだったな」
「じゃあ、私たちも乗ってみようよ!もっと何か思い出すかもしれない」
「私もあの時一緒にいたから、色々話せると思うよ!」
「え〜っとミステリーコースターは…」

高木が地図を見ながらミステリーコースターの場所を探す。

「隣の、怪奇と幻想の島ですね」

5人で怪奇と幻想の島に移動し、ミステリーコースターに乗るために列に並んだ。

「蘭達は前だ」

蘭と園子が前に乗り、その後ろに小五郎と高木が、そしてそのまた後ろに名前が乗る。

「あれ?そういえば、毛利さんって高いところが苦手はずじゃ?」

名前が疑問に思っていると、小五郎が「しまった!だ、だっはー!!」と奇妙な声を上げる。
ジェットコースターはそのまま進み、小五郎は涙目になりながら叫んでいた。

「ひいーっ!!」

ようやくジェットコースターが終わり、小五郎はベンチまでヨロヨロと歩いて行くと「ハア…ハア…ハア…」と息を切らしながら天井を仰いでいた。

「あの…大丈夫ですか?」

蘭が心配そうに見守る。

「蘭、コーラ飲む?」
「はい」

園子はコーラを買いに、蘭の傍を離れる。

「…たく、誰だ?あんなもん作りやがったの」
「はいよ、コーラ」

戻って来た園子がコーラを手渡す。

「あ、ありがとう」

蘭は受け取ったコーラをリュックのポケットに入れる。

「あ…あの…苗字さん、ちょっとトイレ行ってきます」
「うん、行ってらっしゃい」

高木は名前に一言断ると、トイレに向かう。
そのタイミングで、近くで風船を配っていたトロッピーの着ぐるみを着た人物が、蘭達に近づいてくる。

「蘭さん!危ない!」

光彦が叫ぶと、トロッピーが走って逃げて行く。

「待て!」
「こら、君達!よさんか!」

阿笠と灰原が子ども達の後を追いかける。

「逃がしません!」

光彦はブーメランを投げるが、投げたブーメランはそのままトロッピーを越えて他の客の手に当たる。
持っていた荷物が地面に落ちると、その荷物に足を取られて転がるトロッピー。

「トウガラシ入り水鉄砲!食らえ!」

元太はトウガラシ入りの水鉄砲をトロッピーの口の部分に発射する。

「うわっ!」

トロッピーの中の人間がせき込んでいると、後ろから歩美がゆっくりと近づき、足首に手錠をかける。

「あっ!」

小五郎がトロッピーに近づいて被り物を取ると、中に居たのは友成真だった。

「おまえは、友成真!」
「ど、どうしてここに!」

ようやくトイレから戻って来た高木も合流する。

「ん?何を持っている?」

小五郎はトロッピーの洋服のポケットに入っている物を確認すると、それはナイフだった。

「ナ、ナイフ!」
「あっほれは…!」

真は弁明しようとするが、トウガラシのせいで上手く話す事ができない。

「友成真!殺人未遂の現行犯で逮捕する!」
「た、高木君…」

高木は真の手に手錠をかける。

「やった〜!蘭姉ちゃんを守り隊の大勝利!」

少年探偵団の3人は喜びの声を上げる。

「も、毛利さん。このまま本庁へ連行します!」
「待て、俺も行く」

小五郎はそう言うと「ううっ…あっ…!」と騒いでいる真を無視して蘭の方に向かう。

「もう狙われる心配はないし、俺がいねえ方が新一の事を思い出しやすいだろ」
「お…お父さ…」
「いいんだよ。全て思い出した時に、そう呼んでくれ」

小五郎は子ども達に「探偵団のおかげで助かった。今日は大手柄だったな!」と言って褒める。
小五郎に褒められた子ども達は嬉しそうな顔をした。

「それじゃあ、行きましょうか」
「ああ」
「苗字さん?」

何も言わない名前の事をおかしいと思った高木は、名前の名前を呼ぶ。

「あ、うん…。とりあえず、行こうか」
「あ、あうあ!」

トウガラシのせいで何を言っているか分からない真を見て「着いたらまずは水だな」と小五郎が苦笑いをする。



名前と高木、小五郎は真を車に乗せると本庁を目指した。

「苗字さん?どうかしましたか?」
「え、あ…うん…。なんだかこれで終わりなのかなって思って…」
「え?」
「なんだか、単純すぎる気がして…」

名前がそう言うと、高木は「ど、どういう事ですか?」と再度質問をする。

「…ううん、何でもない。多分、私の勘違いかな…」

名前には、仁野の事件と今回の事件が関係している気がしてならなかった。
しかし、仁野と真に接点はない。
本当に真が犯人なのか、名前は疑問に思っていた。





本庁に到着した目暮を呼んだ後、真を取調室に連れて行き、水を差し出す。

「どうだね?喋れるようになったかね?」

トウガラシの辛味が緩和された真は、ようやく話せるようになると「男の声で、電話があったんです」と話し始めた。

「”父親が死んだ真相を教える”って。それで、米花町の交差点に行きました。ですが、男は現れないで、すぐ近くで奈良沢刑事が撃たれたんです」
「え?」
「家へ戻ると、再び男の声で電話がありました。今度は”緑台のメゾン・パークマンションへ来い”と。しかし、やはり男は現れず、そのマンションの地下駐車場で射殺された芝刑事が発見されたんです」

真は頭を抱えながら「僕はやっと気づきました!犯人にハメられたんだと。その夜は、ビジネスホテルに泊まりました」と続ける。

「次の日、家の留守電にかけてみると、佐藤刑事と名乗る女の声で米花サンプラザホテルに来るよう指示が入っていたんです。来ないと、殺人容疑で逮捕すると」

真は、その日の事を思い出しながら「ところが、行ってみると警察の人達が大勢いて、僕は逃げるように立ち去りました」と話した。

「でも、そこでは佐藤刑事が…」
「どうしてすぐ警察に相談してくれなかったのかね?」
「信用できなかったんですよ!父親の一件があって!あなた達が救急車を呼んでくれていたら、父は助かったかもしれないのに!」
「んん…」

真は小五郎の方を見ると「それで、名探偵の毛利さんに助けてもらおうと思い、周辺をうろついていました」と言う。

「えっ?」
「すると、トロピカルランドでは蘭君に近づいたんじゃないのか!?」
「はい、毛利さんに声をかけようと…」
「ちょっと待て!ナイフ持ってたろ!」
「護身用です。犯人に命を狙われるかもしれないし」
「お…おい…」

小五郎は顔を青くする。

「それじゃあ…犯人は別にいるという事ですね」
「しかも、女の共犯者が…」
「蘭が…危ない…」
「い、今すぐトロピカルランドに戻りましょう!!」

名前達が急いでトロピカルランドに戻るために取調室を出ようとしたところに、小田切警視長が取調室に入って来た。

「お、小田切警視長!」
「どうしてここへ?」
「1年前の仁野保氏の自殺、あれは自殺ではなく他殺だ。犯人は、以前、同じ東都大学付属病院で外科医をしていた風戸京介だ」
「えっ?」

小田切は、息子の敏也が仁野のライターを持っていた事で、仁野との関係を疑い、1年前の仁野の自殺と処理された事件を自ら再捜査していた。

「友成信勝が手術中に亡くなった事故。あれは、仁野が当時一緒に執刀していた風戸の腕をメスで切ったことで起った手術ミスだった」
「そ、そんな…」
「その事故が原因で風戸は心療内科に。後に再会し、その時に何かトラブルがあり犯行に及んだんだろう」
「し、しかし、風戸先生はたしか右利きのはずでは?」

目暮がそう言うと「いや、ヤツは本来は左利きだ。右利きに直したのだろう」と言った。

「ですが、あのパーティーで風戸先生からは硝煙反応は出なかったのですよね…?」
「硝煙反応を出さずに拳銃を撃つ方法はありますよ」

名前がそう言うと「ああ。ビニール傘の先端に穴を空け、手術用の手袋をつけた腕を穴から通して発砲すれば、傘が煙から自身を守る」と小田切が続ける。

「な、なるほど…」
「射殺された奈良沢警部補が左胸をつかんでいたのは、警察手帳ではなく心療内科の”心”を示していたんだ」
「そういう事だったんですね」
「風戸先生の動機は、外科医としてのキャリアを経たれた事によるの復讐。そして、その仁野さんの事件を再調査し始めた奈良沢刑事、芝刑事、佐藤刑事の口封じという事ですね」

名前の言葉に「ああ。すぐにトロピカルランドに向かって、風戸京介を確保だ!」と小田切は指示を出した。



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