漆黒の追跡者02

「そろそろ毛利さんが到着する頃ですね」
「そしたら外に出て迎えに行こうか」
「ですね」
「あっ!僕も行きます!」

会議の準備が終わり、名前が佐藤と高木と一緒に会議室から出ると外に小五郎、蘭、そしてコナンの姿を見つけた。

「毛利さん!」
「おっ」
「すみません、迎えに行こうと思ったんですけど、もう到着されていたんですね」

佐藤が「朝早くからご苦労様です。おはよう、蘭ちゃん、コナン君」と2人にも挨拶をする。

「おはようございます」

小五郎は「広域連続殺人だそうだな」と聞く。

「はい。一昨日、小田原市の有料道路で起きた殺人事件の現場で麻雀パイが発見されたんですが…」
「同様の麻雀パイが発見された事件が、他に東京、神奈川、静岡、長野の各県で都合5件起きていた事が分かったんです」
「なるほど…」
「とにかく、詳しい事は会議で」
「ああ」

名前は「蘭ちゃんとコナン君はどこで待ってる?」と聞く。

「私達はあそこのベンチに座って待ってます」
「分かった!そんなに長くはかからないと思うけど、退屈だったら食堂にでも行って休憩しててね」
「ありがとうございます」

会議室に戻ると、小五郎の姿を見た横溝参悟がこちらに駆け寄って来た。

「おっ、毛利さんじゃありませんか!お久しぶりです!」
「ああ、相変わらずでけえ声だな横溝の…」
「参悟です!こっちは、弟の重悟」

参悟は、双子の弟の横溝重悟を紹介する。

「知ってるよ」
「プッ…!」

小五郎の後ろで高木が思わず吹き出した。

「何度も会ってる」
「サンゴ!ジュウゴ!?」
「シッ!」

思わず佐藤に笑いながら耳打ちした高木を、佐藤はにやけながら止めるが、それに気づいた高木を重悟が睨む。

「ん?」
「だあ!アッハハハ…」

高木は笑って誤魔化した。

「で、そちらの女性は?」

小五郎は、2人の後ろにいる女性の事を聞く。

「えっ?ああ、失礼しました。彼女は、埼玉県警の荻野警部」
「荻野彩実です。お噂はかねがね」
「いやあ、埼玉県警にこんな美人の警部さんがいるとは」
「私が埼玉に勤務していた頃の後輩なんです」
「な…埼玉県警?」

小五郎は、今回の事件に埼玉は関係ないのではという事を思い出した。

「東京で殺害された被害者の自宅が、所沢だったため会議に呼ばれたんです」

荻野は小五郎の疑問を解消した。

「毛利さんは、どうしてここに?」
「今回、特別顧問として、松本管理官の要請で来ていただいたんです」

名前の返事を聞いて「フンッ、探偵に助けを求めるたあ情けねえ話だな」と重悟が言った。

「同感だな」

そんな重悟の言葉に同意したのは大和だった。

「あっ、あんたこの前の風林火山の…長野県警の大和敢助警部。それと…」

大和の隣には「群馬県警のへっぽこ刑事!」である山村ミサオがいた。

「あちゃ〜やだなあ毛利さん!ちゃんと山村ミサオって名前があるじゃないですか!ホラァ!」

そう言うと、山村は警察手帳を見せる。

「にしても事件があったのは長野県だろ?なんで群馬県警が?」
「犯行現場が長野と群馬の県境にまたがってんだ。それで…」
「遺棄された遺体のひざから下が、群馬県に入っちゃったりしちゃったんですよね〜これが!」
「あ〜あ。っていうか、名前はもう分かったから…んっ?」

山村が何度も警察手帳の名前の部分を見せており、小五郎はもう一度しっかり山村の警察手帳を見るとある事に気づいた。

「け…警部!?」

山村の名前の上の役職には”警部”と記載されていた。

「おまえ、警部になったのか?」
「あっ!気づいちゃいました?」

山村は嬉しそうな顔をすると「おかげさまで、見事警部に昇進しちゃいました!」と言った。

「なぁ…!?ハァ…おまえが警部ねえ」

小五郎は驚きながら名前の方を見ると「おまえが警部なのに、何で優秀な名前君がまだ警部補なんだ」と言う。

「まあまあ毛利さん。名前さんも、もうすぐ警部になると思いますよ!」
「美和子ちゃんったら、そればっかり」
「そりゃあそうだ!こんなへっぽこが警部に昇進したんだから!」
「酷いじゃないですか〜毛利さん!」

参悟は「ところで、今日はあのメガネの少年は来てないんですか?」と話題を変える。

「メガネの少年?あ、ああ、コナンの事か」
「そうそう、江戸川コナン君!彼がいると、なぜか事件が解決するんですよね」
「そういや、俺ん時もそうだったな」
「僕の時もそうです!」

他県の刑事達が口々にそう言うと、高木が「ああ!皆さんそうなんですか?」と嬉しそうに言う。

「実は、私達もそうなんです。特に名前さんとコナン君が一緒にいると、あっという間に事件が解決しますよね」

佐藤が誇らしそうにそう言うが、名前は「え?そうだっけ?」と答えた。

「それで、途中で意識がなくなって、いつの間にか事件が解決しちゃってたりしますよね」
「意識がなくなる…?」
「うん?」
「本当に?」
「それはねえな」
「ないないない」

参悟と重悟が否定すると「えっ?僕だけ?」と山村が驚く。

「おかしいな…」
「ンンッ」

そこに、目暮が咳払いをする音が聞こえてきた。

「そろそろ、会議を始めたいんだが」

目暮の隣には白鳥と松本が立っていた。

「ああ、すみません!」

刑事達が一斉に席に座ると、白鳥が会議を進める。

「まず、第6の事件を覗く5件に共通しているのは、どれも大型のナイフによる刺殺である事。それも、傷口の形状等から、右手で上から大きく振り下ろされたものと思われます」

白鳥は捜査資料を読み上げる。

「さらに、5件の被害者はいずれも、スタンガンを使用して拉致され、遺体発見現場において殺害、遺棄されたものと思われます」

白鳥は「ここで、疑問が1つ浮かび上がります」と問題提起をした。

「被疑者はなぜ、自由を奪った被害者をわざわざ別の場所まで運んでから殺害したのか。次に6件全ての遺体から。赤い丸印と裏にアルファベットと黒い縦線が書かれた麻雀パイが発見されています」

白鳥は、資料の写真を見せながら言う。

「これは明らかに被疑者によるメッセージと思われます」
「赤い丸印は、ピンズの7の下の4つの丸のうち、右上が塗られたものと左下が塗られたものがありませんね」
「アルファベットは”A”が2つと”E””H””Z”。裏返しで逆さまの”L”か…」
「さらに6人の被害者が普段身に着けているもののうち、それぞれ一つずつ持ち去られているものがあります」

佐藤は資料を見ながら「ペンダント、巾着、お守り袋…」と持ち去られたものを確認する。

「ベイクのキーホルダーに、コンパクト、マスコットの人形か」

高木の後ろに座っていた千葉が手を上げる。

「被害者が拉致された際になくなってしまったのではありませんか?」
「いや、6人の全てから1つずつとなると、やはり被疑者が持ち去ったものと考えるべきだろう」

目暮は資料を置いて「うーん、問題はメッセージの意味だな」と言う。

「メッセージはもう一つあります。第6の被害者、竜崎さんが残した”七夕、きょう”というダイイングメッセージです」
「竜崎さんはブレーキオイルを抜かれたと思われる大鑑山のレストハウスで、被疑者を見たのかもしれねえな」

そこまで黙って聞いていた小五郎が「あの、皆さん。難しく考えすぎなんじゃないっすか」と言いながら立ち上がる。

「麻雀パイは、そのまま麻雀を示すんです。殺害動機はズバリ、麻雀をめぐるトラブル。ピンズの1と7を置いたのは、8人で麻雀をやっていた事を意味します」

小五郎の説明に、名前達は少しざわめいた。

「そして、チーピンの模様の内、赤く塗られていないのは後2つ。そのどちらかが被疑者を示し、もう1つが最後の被害者を示しているのです」
「それじゃあ、まだ犯行は続くのか?」
「ええ、恐らく」

小五郎の言葉に、白鳥は「しかし、8人のメンバーを示すなら、ピンズの8の方がいいのでは?」と聞く。

「ピンズの1と7にはもう1つの意味があったんだよ。つまり被疑者はその2つのパイ、イーピンとチーピンでテンパっていたんだ。それでも一発逆転の超〜でかい手を!」

小五郎の言葉に、参悟は「なるほど!それなのに誰かに安い手であがられてしまった」と納得した。

「あっ、それで被疑者は頭にきちゃったんですね」
「その通り!恐らく、他のメンバー全員がそういうせこい麻雀をしていたんだろう。それが被疑者には我慢ならなかった。これが犯行の動機だったわけですよ」

小五郎は自信満々に自分の推理を語った。
小五郎の推理を聞いていた名前は「イーピン、チーピン?」と、麻雀を知らないがゆえに意味が分からず混乱していた。



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