12

「化け物屋敷!?」

2人から出てきた言葉を聞いて、5人と名前は一斉に繰り返した。

「うん!燃えるお魚がいーっぱい泳いでたし、おっきな黒い蛇が煙の中からニョロニョロ出て来たし…」
「それによォ、その屋敷に住んでるオッサンに写真撮られたら、俺と蘭の後ろに写ってたんだよ!でけェ鬼の顔が!!”オレらが魚や蛇の化け物を見たのはその鬼のせいだから、もう来るな”って!」

男の子、新一の言葉を聞いた降谷は「その写真見せれるかい?」と聞いた。

「いや、そのオッサンが自分のカメラで撮ったから…」
「んじゃ俺らがかかわれるのはここまでだ!」
「悪いなお2人さん!」
「えーっ!」
「警察はお化けにも不介入なんだよ!」
「ちょっと陣平ったら!」

大人げない態度の松田を叱りつつ、名前は新一と蘭に聞いた。

「他に何か、不思議な事が起ったり、物があったりとかはなかったかな?」

名前に聞かれた新一は「鬼の写真はねぇけどよ…変な紙キレならその屋敷の庭で拾ったぞ!」と言いながら、ポケットの中に手を入れる。

「ホラ、見てみろよ!山桃が1g6千円って高すぎるだろ?」

そう言って新一が見せた紙の切れ端には、漢字とカタカナのような文字で”山モモワ”と、そして数字が記載されていた。

「!?」
「きっと、山桃に似た怪しい果物を栽培して、その化け物育ててるんだよ!!」

6人は新一の持っている紙を見ると、すぐにその内容がおかしいことに気づく。

「確かに山桃は幻の果物って呼ばれてるけどよ…」
「せいぜい250gで千円ってトコロだ!」
「ざっと1500倍…」
「相当旨いんだろうねぇ」
「病み付きになっちゃうくらい」
「どうやら僕の用事はキャンセル。長い休憩時間になりそうだ」

最後に降谷がそう言うと「その屋敷に案内してくれるかい?」と2人に聞いた。

「あ、ああ…」
「今から行くの?」
「このまま黙って見過ごすわけにはいかねぇだろ」
「鬼塚教官に伝えてからの方がいいんじゃない?」
「とりあえず、一度屋敷に行ってみて、状況を把握してからでも遅くはないだろう」
「降谷君がそう言うなら」
「なんでゼロの言うことは素直に聞くんだよ」
「日頃の行いかな?」
「この野郎!」

笑ってそう答える名前に、松田はデコピンをした。

「痛いなーもう」
「うるせェ」
「ハイハイ、2人とも遊んでないで早く行こう」
「いい歳した大人が人前でイチャイチャしてんじゃねーよ」

新一の言葉に、松田は「このクソガキ…!」と握りこぶしを作る。

「まあまあ」
「ほら、行くなら早く行かないと!」

8人は、その化け物屋敷に向かって歩き出した。





「大体、何でそんな屋敷に行ったんだよ?」

松田が新一に聞くと「そいつはヤボだぜ陣平ちゃん」と萩原が代わりに応える。

「好きな子誘って肝試しして、キャーって抱きつかれたかったんだよな?」
「ち、ちげーよ!!」

萩原にそう言われ、新一は顔を赤くしながら否定する。

「真夏でもカーテン閉めてて開いたトコ見た事ないし、人がいる気配がないのにエアコンの室外機がずっと動いてるし、たまに来るオッサンはダンボール箱を大量に出し入れしてるし…」

新一は屋敷のおかしな点をいくつか挙げて説明する。

「もしかしたら、その箱の中身は餌で象でも飼ってんじゃねぇかと思って調べに行ったんだよ!オレは探偵だからな!ま、まだ修行中だけどね」
「へー!君は探偵目指してるんだね!」
「探偵なんて止めとけ止めとけ!警察官はいいぞ!」

伊達は新一の頭を優しく撫でながらそう言った。

「ねえ、みんな”山モモ”の紙を見て相談に乗ってくれたんでしょ?そんなに山桃が好きなの?」

女の子、蘭の言葉に降谷は「あれは”山モモ”って書いてあったんじゃないんだ!」と答えた。

「オレ達には読めない暗号みたいな物さ」

そんな話をしていると、2人が化け物を見たという屋敷に到着した。

「ここかぁ化け物屋敷は…」
「かなりボロボロだね」
「確かに…何か出て来そうな雰囲気はあるね…」

中に入るために門に触った伊達が「門の柵も朽ち果ててほぼ用をなしてねぇな」と言った。

「なのに高級外車が停まってやがる」
「フェラーリじゃんよォ!」

そんな車に萩原は嬉しそうに近づいた。

「こんな屋敷に似合わない高級外車かー」
「怪しさ大爆発だね!」
「ああ…」

降谷は池の近くで2人に「じゃあどこで何があったか教えてくれるかい?」と聞いた。

「うん!」
「まずは燃えながら泳ぐ魚から!」
「あそこのお池だよ!」

そう言って、蘭は池を指さした。

「水の上を火がついたお魚がいーっぱい泳いでたの!!」
「本当に魚だったかい?」
「怖くて近寄って見てないから、はっきりとは言えないけど…」
「じゃあ火をつけたラジコンのボートを誰かが操縦していたかもしれないなぁ」

そんな伊達の言葉を新一が否定する。

「それはねーよ!10匹以上いたし、みんな好き勝手に動いてたし、きっと燃える背ビレを水面から出して泳いでたんだよ!」
「10匹以上ならラジコンはありえないね」

池の側にしゃがんだ松田の隣に、名前も一緒にしゃがむ。

「んー?」
「どうしたの陣平?」

松田が池の中をジッと見つめていることに気づいた名前は「あんまり乗り出さないでね?落ちちゃうよ?」と心配そうに言った。

「ガキじゃねーんだから落ちねぇよ!」
「苗字さんの中で、松田は何歳児だと思われてるんだろうね?」
「10歳くらいだろ」
「オレたちと一緒じゃねーか!」
「えー!あのお兄さん10歳なの?」
「んなわけあるか!!」

松田は好き勝手に話している降谷たちを睨みつけると、池の中に視線を戻し、池の中に何かがあることに気づく。

「水面に白い何かが浮いてんな…」

そう言うと、池の中に指を入れる。

「この臭い…どうやら防虫剤みてーだぜ?」
「防虫剤か…」
「んで?黒い蛇はどっから?」
「あっち!」

新一が指をさした方を、みんなが一斉に見る。

「あの草ムラの向こう側からニョキニョキ出てたぞ!」
「どれどれ…」

萩原は、新一が黒い蛇を見たという草ムラの方に歩いて行く。

「おやおやァ?草ムラと屋敷の間に奇妙な丸い跡が3つも残ってるじゃんよー」
「ねえ萩原君、丸い跡の周りに何か落ちてない?」
「だな」

萩原はその場にかがむと、落ちている物を拾い上げる。

「触れるとかなりもろくて、コイツの臭いは…甘い。カルメラのような臭いだねぇ」
「んじゃ最後!ボウズ達が鬼の写真を撮られたって場所はどこだ?」

伊達に聞かれた新一は「燃える魚と黒い蛇に驚いて、あっちの玄関の方に走ってったら急にライトに照らされてよォ…この家のオッサンに写真撮られたんだ!」と答える。

「じゃあ、その人は玄関の前でカメラを構えて君達が来るのを待ち構えていたんだね?」
「うん!オレ達が何か悪さしてたらその写真を警察に持って行くつもりだったって言ってたよ!」
「写真を撮られた時、ライトを照らされたって言ってたけど、フラッシュはたかれてなかった?」

諸伏の質問に2人とも否、と答えた。

「なるほど…やっぱりそうか!」
「子ども相手にここまでする?」
「それほど、この屋敷に近づかれちゃ困るんだろう」
「まあ、それだけここが大事なんだろ」

新一は「んで?これからどーすんだ?」と聞いた。

「そりゃーやる事は決まってるよ!なあ?」

伊達にそう言われた降谷は「とりあえず僕は電話でこの事を鬼塚教官に説明するよ。なんなら応援も呼んでくれと」と答える。

「んじゃ俺はその隙を突いて教官のFDを拝借して来ましょうかねぇ!」
「また?そろそろあのFDが可哀想に思えてきたよ」
「車は走ってなんぼっしょ!」
「萩原君ったら…」

萩原の笑顔に名前は頭を抱えた。

「そしたらオレは近所で材料を買ってくるよ!色々再現しなきゃいけないだろうし」
「買う物も多いだろうから、私も手伝うよ」
「ありがとう苗字さん」

最後に松田が「残った俺と班長は、まだこの屋敷に潜んでる連中に事情聴取って所かねぇ」と言った。

「ああ!んじゃおっ始めるか!」



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