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「名前ー。久しぶり!」
「名前さん、聞きました!?」
「ん?何を?」

久しぶりに食堂でご飯を食べている名前の元に、林と宮本がやって来た。

「白鳥君!美和子じゃない彼女ができたみたいですよ!!」
「ど、どうして同じ課の私よりも由美ちゃんの方が詳しいの」

名前が苦笑しながらそう言うと「すぐに情報が入ってくるんですよ!」と言って宮本が笑う。

「にしてもビックリだよね。白鳥君って、佐藤ちゃんに夢中だったんでしょ?」
「今はその彼女にゾッコンらしいですよ!」
「まあ、美和子ちゃんには高木君がいるしね。白鳥君にも春が来たみたいで良かったよ」

林と宮本が向かいに座ると、宮本は大きなため息をついた。

「私も彼氏ほしい〜!!」
「良い人いないの?」
「いないです!」

キッパリとそう言った宮本に「あれ?前に言ってたあの彼氏は?」と林が問う。

「元カレです!!もういいんですよ、あんな奴!」

宮本はそう言うと、林の事を見ながら「凛子さんには付き合って長い彼氏がいるし…」とつぶやく。

「まあね」
「名前さん!!」
「んへ!?」

大きな声で名前を呼ばれた名前は、思わず持っていたお箸をお盆の上に置く。

「私達も、早く良い人見つけましょうね!!今度また合コンやるんで、絶対来てくださいよ!」
「あー…えーっと、うーん、まあ…考えておくね」

名前がそう答えると、宮本は「お手洗い行ってきます」と言って席を立った。

「いいの?」
「え?」
「”私には警察学校時代からラブな人がいまーす”って言わなくて?」
「ッ…!!凛子ちゃん!」

林の言葉に、飲んでいたお茶を思わず吹き出しそうになる名前。

「アハハ、ごめんごめん」
「もう!」
「さーてと、私もご飯食べようかなぁ」

本格的に名前に怒られる前にと、林はそう言いながら席を立ってご飯を買いに行った。



トイレから出た宮本は、少年探偵団と一緒に歩いている佐藤を見つけて駆け寄った。

「オッス、美和子!ガキ共連れて事情聴取?」
「え?」

宮本は「あら、何よその格好。眼鏡なんかもかけちゃって…イメチェン?」と小林に聞く。

「あ、いや…」
「シャキッとしなさいよ!寝ぼけてんの?」

宮本が小林のお尻を叩くと小林は「きゃっ!」と叫んだ。

「”きゃっ”って…今、言った?」
「な、何をなさるんですか!?」

少年探偵団と歩いていたのは帝丹小学校1年B組担任である小林澄子なのだが、小林と佐藤の容姿が似ていたため、宮本は小林の事を佐藤だと思い込んでいる。
見兼ねたコナンが「違うよ、由美さん。この人は」と説明しようとするが、その前に千葉が走って来た。

「あ、佐藤さん!子ども達来たんですね!」

周りを見ながら「あれ?学校の先生も一緒のはずじゃあ…」と小林に聞く。

「だからーこの人はね」
「帝丹小学校1年B組の担任で、先日の殺人事件の重要参考人である小林澄子先生です!間違えないで頂きたい…」
「し、白鳥警部…」

先日発生した殺人事件を目撃したのがコナン達の担任である小林だったため、警視庁に事情聴取に来ており、合流した白鳥が2人に訂正する。

「では、向こうの部屋で詳しくお話を」
「あ、はい…」

小林は「あのー…私と似た方がいらっしゃるんでしょうか?」と白鳥に質問をする。

「ええ、僕はさほど似てるとは思いませんが」

そう答えた白鳥を、子ども達がジッと睨む。

「ま、まあ…多少は似てるかな…」

そこに「あれ?美和子ちゃん…?ん?違いますね」と言いながら名前も合流した。

「苗字さん」
「名前さん聞いてください!この方は帝丹小学校の1年B組の担当の先生なんですって!」
「あ〜!この前の殺人事件の参考人の」

名前はそう言うと、小林に「初めまして。警視庁捜査一課の刑事で、苗字名前と申します。捜査へのご協力、ありがとうございます」と挨拶をする。

「こ、こちらこそ。1年B組担任の小林澄子です」
「それじゃあ小林先生、行きましょうか」
「はい」

白鳥、小林、そして子ども達の後ろ姿を見送りながら「もしかして、あの人が白鳥君を夢中にさせてる彼女?」と宮本が言うと「は、話には聞いていましたけど、あんなに佐藤さんに似てるとは…」と千葉も同意する。

「こらこら、似てるって言われて嬉しい人もいるかもしれないけど、あんまりそう言う事は言わない方がいいよ」
「そ、そうですよね」

少し焦ったような顔をした高木が合流し「僕も最初に会った時、驚いたよ…」と言った。

「でしょでしょ?」
「でも、言葉遣いも性格も、佐藤さんとは真逆だったから…タタタ…!」
「私と誰がどう真逆なのよ?」

いつの間にか高木の隣にいた佐藤が、不満そうな顔で高木の頬を引っ張りながらそう聞くと「あ、いや…」と言いにくそうにする。

「美和子の方が刑事っぽくて男前って事よ!」
「はあ?何よそれ?」
「まあまあ、美和子ちゃんはいつでもカッコいいよ!」
「名前さん、それ褒めてます?」

佐藤は「まあ、いいわ!この前の殺人の容疑者3人、連れて来たから取り調べるわよ!」と高木に伝える。

「は、はい!」
「…」
「あの2人も、最大の障害だった白鳥さんが外れてゴール一直線って感じッスね!」

嬉しそうな顔でそう言う千葉とは真逆の表情で「まあ、私としては白鳥君を焚き付けて、あの2人をおちょくれなくなったのが、ちょっとさみしいけどね」と宮本が言う。

「まったくもう、由美ちゃんはいい加減2人をからかうのをやめなよね」
「えー、楽しいじゃないですか!」
「そんな事言って…。白鳥君が小林先生にゾッコンだって教えてくれたの由美ちゃんでしょ」
「そうですけどー!やっぱり恋愛は障害がある方が燃えるじゃないですか!」

そう言って宮本はいたずらっ子のような顔で笑う。

「ほどほどにね」
「はーい!」

名前はそう言うと捜査一課に戻った。



書類作業をしているとあっという間に3時間ほどが経っており「一旦休憩しようかな」と言って、席を立とうとした名前に、目暮が声をかける。

「苗字君、今大丈夫か?」
「はい!事件ですか?」
「ああ。杯戸ホテルにいる蘭君からの通報で、ホテルの屋上から人が転落死したらしい」
「ホテルの屋上から?」

目暮と名前は、急いで杯戸ホテルに向かった。

「蘭ちゃん!園子ちゃん!」
「名前刑事!目暮警部!」

ホテルの駐車場で待っていたの、通報した蘭と園子だった。
駐車場には、転落死した上住の死体が横たわっていた。

「自殺…?」
「事故死の可能性も高いが…」
「あ、あの…実はコナン君ともう一人、男の子が屋上にいて」
「コナン君?さっきまで警視庁にいたのに」
「その帰りに、園子のおごりでここのホテルのケーキバイキングに行こうって話になってたんです」

蘭がそう説明をすると「それで、もう一人の男というのは?」と目暮が聞く。

「私達も、今日初めて会った子なんだけどね」
「コナン君とその男の子が、第一発見者の3人を連れてホテルの屋上に行っちゃったんです。多分、そろそろ戻って来るんじゃないでしょうか」

蘭の言った通り、コナン達が屋上から駐車場に戻って来た。

「コナン君!」
「名前刑事!さっきぶりだね」
「本当に、よく事件に巻き込まれるね」
「アハハ…」

コナンと一緒に屋上に行った帽子をかぶった子を見て、名前は「あれ?」と言った。

「やっぱり!ボクの事、気付いてくれると思ったんだよ!」
「もしかして…」
「名前さん、久しぶり!会いたかった〜!」

そう言って名前に抱きついたのは、帽子をかぶった癖のあるショートカットでボーイッシュな格好をした、世良真純。

「大きくなったね〜!」
「アハハ、名前さんオバサンみたいだよ」
「ひ、酷い!」
「まあ、あれから5年くらい経ってるしね。覚えててくれて嬉しいよ!」
「私も、久しぶりに会えて嬉しい!」

名前と世良の会話を聞いていた蘭が「名前さん、この人と知り合いなんですか?」と質問する。

「ああ、この子は「シーッ!」

名前が世良の事を紹介しようとするが、世良がそれを止める。

「今はまだ内緒にしておいてくれないか?」
「何で?」
「フッフーッ、内緒」
「まあいいけど」

そう言って名前はクスっと笑うと「昔ね、迷子だったこの子を保護した事があるんだ」とだけ蘭達に伝える。

「そうだったんですね」
「うん」
「それで?エレベーターと会談を見張っててもらったんだけど、犯人は降りて来た?」

世良がそう聞くと、名前は「警備員の人の話だと、別館に出入りしたのはあなた達だけだって」と答えた。



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