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「それじゃあ私は子ども達を家に送り届けてきますね」
「ああ」
「よろしくね、白鳥君」

高木の場所がある程度絞れた事で安心した白鳥は、子ども達を連れて捜査一課を出て行く。





北海道に到着した目暮と佐藤から連絡が入った。

『こちら目暮です!北海道に到着し。道警本部のヘリに乗って付近を捜索中です』
「分かった!急げよ目暮!」
『分かりました!』

夜が明け、地元の建設業者に再度調べてもらったが、高木を発見したという連絡はない。

「高木さん…大丈夫でしょうか…」
「うん…。そろそろ見つけてあげないと、本当にまずい気がしてきた…」

松本は「ええい、まだか!」としびれを切らして目暮にもう一度電話をかける。

「おい目暮!!高木はまだ見つからんのか!?」
『はい…。道警本部のヘリと一緒に捜索をしているのですが…場所をもっと絞り込まないととても…』

広い北海道を捜索するのに難航していた。

『そちらには何か報告は入っていないんですか?』
「ああ…。夜が明けてからもう一度調べてもらったが、拉致映像に映っている4階以上の工事現場で高木は発見できなかったそうだ…」

その言葉を聞いた目暮は『た、高木は無事ですか?』と焦った様子で聞く。

「ああ…。今にも事切れそうだがな…」
『あ…!』
「何だ?どうした!?」

目暮は『ゆ、雪です!たった今雪が!』と雪が降ってきた事を伝える。

『管理官!そっちはどうです!?高木君の映像に雪は!?』

佐藤の切羽詰まった声を聞いた名前は映像を確認して「こっちにも雪が写ってるよ!!」と叫ぶ。

「気象庁に確認!!急げ!!」
「はい!!」

気象庁に確認の電話をかけた刑事が「雪は北海道だけです!北海道のほぼ全域で雪が降り始めたそうで…」と松本に告げた。

「やはり高木の拉致現場は北海道だったか!」

松本は「だがなぜだ…!?北海道内の4階以上の工事現場は全て調べ尽くしたというのに…なぜ見つからん!?」と疑問を提示する。

「…」
「どうかしましたか?苗字さん?」
「ん?」

顎に手を当てて考え込んでいる名前の姿を見た千葉が「難しい顔をしていますよ?」と問いかける。

「…うん…」
「何か気になる事でもあるのか?」

松本にも聞かれた名前は「はい…。もう4階以上の工事現場は全て確認済みで、高木が落とした警察手帳もまだ拾われていないんですよね?」と聞く。

「ああ」
「たしかに、下に人がいるのならそろそろ拾われていてもおかしくないですよね?」

名前は「多分、高木君の拉致現場は4階以上じゃないんだと思います…」と推理した。

「何!?」
「犯人はトリックで4階以上に見せかけていたんだよ!ね!名前刑事!」
「コナン君!?」

名前達が後ろを振り返ると、白鳥と一緒にコナンと灰原、そして阿笠が捜査一課に来ていた。

「あ、コナン君が昨日見た拉致映像で気づいた事があるというのでここへ…」
「その映像なら我々警察も穴が空くほど見まくったけど何も…」
「ブレてる映像はチェックしたのかしら?」

灰原の言葉に「ブ、ブレてる映像?」と刑事が聞き返す。

「カメラが固定された棒か何かにカラスが留まって揺れてたこの映像だよ!」

コナンはそう言うと、録画された映像を巻き戻して該当する映像を流し始める。

「揺れてカメラの視点が微妙にズレてたからコマ送りで見てみたら、ホラ、高木刑事の左肩のそば…。何か写ってるでしょ?」

コナンが指をさした左肩の部分に、フックの様なものが写っていた。

「これは…」
「フックみたいなのが写ってるよ」
「やっぱり、高木君の落とした警察手帳…」

名前がそう言うと、コナンはうなずいた。

「でも、妙な位置に映ってないか?」
「あ、ああ…。まるで中に浮いているような…」

名前はコナンの方を見ながら「これは浮いてるんじゃないんだよね」と聞く。

「うん。乗ってるだけだよ、鏡の上にね!」
「か、鏡!?」
「だから高木刑事は警察手帳やシートを落としたんだよ!この鏡のトリックに気づかせたくて」

映像に映っているフックを見ながら「運悪く板の陰に隠れて見えなかったから、気づくのに時間がかかったんだね…」と名前は高木の不運を嘆いた。

「つまり、正面の映像の下半分は鏡像…。実際は2階程度だったという事か…」
「苗字さんもよく気づきましたね!」
「私は、本当に4階以上の建物なら、わざわざ下を通る人の声が入ってしまうかもって考えなくない?って思ったのがきっかけだよ」

名前はそう言うと「うん!それに、高木刑事がまだ生きてるのも2階程度っていう証拠だよ!」とコナンが続けた。

「生きているのが証拠?」
「分からないの?サンピラー現象は氷点下20度以下でしか起こらないのよ?それが目視できる極寒の地に、人間が背広一枚で放置されたら一日も待たずに凍死するはずよ」

灰原の説明に「じゃ、じゃあ何で高木さんはまだ…」と千葉が疑問を口にする。

「鏡の裏に電熱線をはわせてるんだよ!雪が降っても積もらないように熱で溶かすために」
「そっか!雪が積もったら鏡だってバレちゃうからだね。その熱のおかげで高木君の周りの気温が少し上がってるんだ!」

コナンの話を聞いた松本は「よーし、捜索の対象を2階以下の工事現場に変更!2階以下なら一戸建ての家屋の可能性が高い!リフォーム業者も捜索対象に入れるよう道警本部に要請しろ!!」と新たな指示を出す。

「はい!!」

目暮に連絡を入れた松本。

「爆発まで後40分…。美和子ちゃん…」

名前が祈るように画面を見ていると、映像の中の高木は口に貼られたガムテープをはがしていた。

「高木君!」
「これで助けが呼べるぞ!!」

しかし、衰弱しきっている高木は声が出せない。

「おい、どーした高木?」
「何で叫ばない!?」
「多分、衰弱しきっていた声が出せないんです…。2日以上何も飲まず食わずですし…」

名前の言葉に「そ、そんな…」「高木ィ…」と落胆の声が上がる。

「ま、待って!!」

名前とコナンは同時にそう言うと、タブレットに近づいた。

「高木刑事のバックの空に映ってるアレ…」
「凧だよね!」

映像の中の高木の背景に、大量の凧が上がっていた。

「た、凧揚げ大会!!」
「白鳥!場所分かるか!?」

白鳥は携帯を取り出すと、北海道内で開催されている凧揚げ大会の情報を調べる。

「本日、北海道で凧揚げ大会が行われているのは…池口町、狛前町、火唄市の3か所です!」
「至急、その旨を道警本部に伝えろ!!」
「はい!」

松本は腕時計で時間を確認しながら「しかし1つに絞れんのか!?爆発まで5分もないぞ!!」と焦り出す。

「…高木君が口を動かしてます…」
「何!?」
「でも、正面の映像じゃない上に雪で遮られてて…唇を読む事は…」

名前は高木の唇に視線を集中させる。

「狛前…」
「えっ?」
「一度口を閉じなきゃ発音できないのは”ま”行と”ぱ”行と”ば”行の3つ!」

コナンは「場所を伝えようとしてたなら、さっきの3か所でそれが2文字入るのは狛前町だけだよ!!」と続けた。

「目暮ェ!!狛前町だ!!狛前町に急行しろ!!高木はそこにいる!!」
『こ、狛前町なら丁度今、その上空に…』

ちょうど狛前町の上空を飛んでいた目暮達。
佐藤は窓から下を覗くと、板の上に縛られている高木の姿を発見した。

『高木発見!場所は狛前町3丁目近辺!!レツはいない模様!!』
「急げ!!2分切ったぞ!!」

名前達が映像を見ていると、何かに驚いた様子の高木が首を横に動かす。
そして弾が高木の首のロープに当たって切れると、佐藤が飛び込んできた。

「美和子ちゃん!」

そのまま二人が板から落ちると、そのタイミングで板の上に置いてあった爆弾が爆発した。

「た、高木はどうなった!?」
「え、映像が途切れて…」
「死ぬなよ!!」
「高木ィ!!」

映像が戻った瞬間「…あ」と、名前は顔を赤くする。
佐藤が喜びのあまり高木に口づけをしている映像が映し出されていた。

「無事みたいっスね!」
「コ、コナン君達は見ちゃだめだよ〜!」
「アハハ…」

名前はコナンと灰原に映像を見せないように二人の前に立ち、他の刑事達はものすごい顔で画面を睨みつけていた。





高木が助け出されてから約一ヶ月、高木と佐藤は一ヶ月遅れの墓参りに来ていた。

「一ヶ月遅れになっちゃいましたね、伊達さんの墓参り…」
「まぁ、高木君…凍傷とか色々ヤバかったもんね」

二人は花束を持って伊達の墓を目指す。

「苗字さんにも聞きましたけど、やっぱりこの指輪は彼女に渡したかったです…」

そう言ってポケットから、伊達の手帳にはさまっていた指輪を取り出す。

「伊達さんの最後のあの言葉は…そういう意味だったでしょうから…」

高木は「それに、伊達さんの言葉で気になる事があって」と佐藤に言う。

「気になる事って?」
「入院中に思い出したんですけど、伊達さん…”苗字に…幸せになれよって伝えてくれ…”って言ってたんです」
「そうなの?」
「はい。ただの幸せを願う言葉というよりは、苗字さんにすでに相手がいるような感じだったんで」
「誰かいるのかしらね?名前さんって恋愛面の話、全然してくれないから…」

伊達の墓の前に到着すると「本当ですよね。ん?」と、高木が墓の前に何かが置いてある事に気づく。

「…爪楊枝?」
「そーいえば、伊達さんいつもくわえてたわね。前に墓参りに来た誰かが気を利かせてお供えしたのね」
「でも、誰が?」

そんな二人の姿を、降谷が物陰から見つめていた。



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