時計じかけの摩天楼02

「よう!コナン君!今から帰る所かね?」
「警部さん!また何か事件?」

米花警察署の前で、コナンは目暮に声をかけられる。

「ああ、色々とね」
「あれ?今日は名前刑事と一緒じゃないの?」
「そうなんだよ」

普段は名前と一緒に行動する事が多い目暮だが、今日は隣にいるのが名前ではない。
不思議に思ったコナンが聞くと「今日は特別でな。おお、紹介しとこう。コナン君も会うのは初めてだったな。うちの課の白鳥君だ」と言って、隣に立っている白鳥を紹介する。

「白鳥です。君の話は警部や苗字さんから聞いてるよ。面白い所に気がつくんだってね」
「そんな…偶然ですよ、偶然」

コナンは嬉しそうな顔で謙遜する。

「そうだろうね。偶然が重なることはよくあるから」
「こう事件が多くちゃゴールデンウイークものんびりできそうにないよ。じゃあね」

そう言うと、目暮と白鳥はパトカーに乗り込んだ。







名前は久しぶりの公休なので、毛利探偵事務所の下にあるポアロに来ていた。

「はァ〜!ここのコーヒーはやっぱり美味しいね」
「ありがとうございます!名前さん、最近忙しいですか?」
「え?」

カウンターに座って、梓の淹れたコーヒーを飲んでいる名前。

「目の下のクマ、ちょっと気になりますよ」
「本当?」
「はい。せっかくの可愛い顔が台無しです!」
「そ、そんな事ないよー」

名前は笑いながら鏡を取り出すと、目元を確認する。

「わー、本当だ…。最近連続放火事件の捜査で忙しくて」
「あんまり無理しすぎないでくださいね。と言っても、職業柄難しいとは思いますけど」
「うん。ありがとう」

梓はコーヒーのお代わりを入れると「サービスです!そういえば、最近映画って観ました?」と名前に聞く。

「映画かー。最近は全然観に行けてないけど、ちょっと気になっているのがあるんだ!」
「なんの映画ですか?もしかして、”赤い糸の伝説”ですか?」
「そう、それ!知り合いと話してて、気になってるんだよね」
「私、この前観に行きましたけど、すごく良かったですよ!名前さんも、時間があればぜひ観に行ってみてください」
「いーなー、赤い糸…」

そう言うと、名前は自分の小指を見る。

「名前さん…そういう相手がいるんですか?」

梓はニヤニヤしながら名前を見る。

「い、いないよ!」
「えー!その反応は絶対いますよね!」
「もー!梓ちゃん!からかわないで!」

梓と話をしていると、上に階の毛利探偵事務所から小五郎が慌てて降りて来た事に気づく名前。

「毛利さん?」
「何やら慌ててますね」
「…私、ちょっと行ってくるね!これ、お釣りは大丈夫です!」
「あ!名前さん!」

名前は梓にお会計を渡すと、ポアロから出て小五郎に駆け寄る。

「毛利さん!」
「名前君!どうしてここに?」
「今日は休みだったんで、ポアロに来ていたんです。何かあったんですか?」
「実は、コナンが爆発に巻き込まれたらしい…」
「え!?」

小五郎はタクシーを停めると「俺は緑台の警察病院に行く」と言う。

「も、毛利さん!私も行きます!」

名前もタクシーに乗り込むと「休みなんだろ?」と、小五郎が聞く。

「コナン君が心配なので!一緒に行かせてください!」
「…分かった」

そう言うと、小五郎は運転手に行き先を告げる。



警視庁、緑台警察病院。

「おお!毛利君…ん?苗字君も一緒か?」
「はい!コナン君が心配だったので、ついて来ちゃいました!」

コナンの病室の前に、目暮と白鳥がいた。

「命に別状はないそうだ。が、まだ意識が戻らん。1件目のラジコンの爆弾を渡された子ども達も中にいる」
「そうですか…」
「毛利さん。私達、コナン君の意識が戻るまでここにいますね」
「…ああ、分かった」

小五郎が病室の中に入り、しばらく3人で待っていると、中から光彦が出て来た。

「ん?」
「コナン君、目を覚ましたみたいですね?」

光彦が連れて来た医者と看護師が病室の中から出て来る。

「お大事に」
「それじゃあお大事に」

病室から医師と看護師が出て来たのを確認して、3人は病室の中に入る。

「早速だがコナン君、事件の事を話してくれないかね」
「うん」

コナンは体を起こすと、堤向津川緑地公園で子ども達がもらった爆弾の仕掛けられたラジコンと、米花駅前に置かれていたキャリーケースに仕掛けられていた爆弾について話した。

「なるほど。じゃあ君は、他の人を爆発から守るために自転車を走らせたんだね?」
「うん…あっ!警部さん」
「ん?」
「犯人からの連絡は、新一兄ちゃんの携帯電話にかかってくるんだ。病院では、携帯電話使えないんじゃ…」

コナンがそう聞くと「ああ、それなら心配いらんよ。ここはあっちの病棟とは独立していてね、治療用の電子機器は置いていないんだよ」と目暮が答える。

「だから、ここでは携帯電話も使えるから安心して」
「阿笠博士から事情を聞いていたのでこっちにしたんだよ」
「よかった。それと、あの自転車ダメにしちゃったんで…おじさん、後で弁償してくれる?」

コナンは不安そうな顔をしながら小五郎に頼む。

「そんな事より、どうしてこんな無茶をしたんだ!もう少しでおまえが死ぬとこだったんだぞ!」

小五郎はコナンを真剣に叱る。

「ごめんなさい」
「それにしても新一はどうしたんだ?」
「たしかにそうですね。最近、新一君見ないですね」
「ああ。その男は新一に電話してきたんだろう?」
「だから、新一君は別の用があって、それでコナン君に頼んだんじゃよ」

阿笠が説明すると「なんてヤツだ…今度会ったらただじゃおかねえ…!」と、小五郎は握り拳を作る。

「そ、それで警部さん!爆弾の種類は?分かったの?」

コナンは話題を変える。

「ああ。ラジコンの爆弾も、キャリーケースの爆弾も使われたのはプラスチック爆弾だった」
「多分、東洋火薬の火薬庫から盗まれた物ですよね」
「おそらく。ラジコンの爆弾は雷管をつけて衝撃爆弾に、キャリーケースの爆弾はタイマーを接続して事件爆弾にしてありました」

白鳥はメモを見ながら伝える。

「しかし、そのタイマーが1時16秒前に一度止まったってのが引っかかる」
「ああ、その事なんだが、一つはタイマーが故障を起こしてしまった場合、もう一つは犯人が何らかの理由により遠隔操作で止めた場合のこの2つが考えられる」

小五郎の疑問に、目暮が答える。

「犯人はわざわざ工藤君に電話してきたところから見て、高校生名探偵工藤新一の評判を知って挑戦してきたか、あるいは個人的に恨みのある人物だな」
「調べましたところ、工藤新一君が解決した事件の犯人は現在全員刑務所に服役しているんです」
「となると犯人の家族や恋人が…」
「そうですね」
「とにかく警察では今、彼らに描いてもらった似顔絵を基に捜査をしている所だ」

元太は描いた似顔絵をコナンに見せる。

「コナン、これだよ!よく似てんだぜ」
「いい出来です」
「3人で描いたのよ!」

コナンは紙を受け取ると「へえ〜、特徴がよく出てるね」と言って褒めた。

「警部さん、今まで新一君が扱った中で、一番世間の注目を浴びた事件は何じゃったろうな」

阿笠が聞くと、目暮は「う〜む…」と考える。

「それは、やはり…西多摩市の岡本市長の事件でしょうな」
「ありましたね」
「どんな事件だったの?」

歩美が名前に聞く。

「岡本市長が運転して起こしてしまった交通事故よ。最初は、市長を助手席に乗せて、息子の浩平さんが起こした交通事故だと思われてたんだけど、本当は岡本市長が運転をしていたのよ」
「ああ、ありましたね!ニュースで大きく取り上げられてた気がします!」

光彦がそう言うと「そうなの。その事故で女性が1人亡くなってしまったし、身代わりを立てたという事でかなりバッシングを受けてね。それで、岡本市長は失脚。彼が進めていた西多摩市の新しい町づくりの計画も、一から見直しになったんだって」と、名前が説明する。

「そうなんですね」
「警部、まさか岡本市長の息子がその時の事を恨んで…」
「うーん…そういえば、彼はたしか電子工学科の学生だったな」
「調べます」
「あ!白鳥君!」

白鳥はそう言うと、病室を出て行った。

「白鳥君1人で大丈夫でしょうか?」
「かまわんよ」

目暮はそう言うと、子ども達の方を見る。

「他に何か犯人について、思い出した事はないかな?」
「どんな些細なことでも大丈夫だよ!」

目暮と名前は、子ども達にもう一度聞く。

「何でもいいんだ」
「う〜ん…」
「そうですね…」
「う〜ん…匂い…」
「えっ?」

歩美の言葉に反応する。

「甘い匂いがした。光彦君がラジコン飛行機を渡された時に」
「そうか?俺は全然気づかなかったぜ」
「僕もです」
「甘い匂いって、化粧品か何かか?」

小五郎がそう聞くと「分かんない…でも、香水とは違うみたいな…」と歩美は答える。

「何だろう…」
「分かった。また何か思い出した事があったら教えてくれ」
「は〜い!」
「それじゃあ3人には私の連絡先を教えるね」

名前は携帯を取り出すと、歩美、光彦、元太の3人と連絡先を交換する。

「それじゃあ、そろそろ僕たちは帰りましょうか」
「そうだな、コナンも元気になった事だし」
「困った事があったら、私、すぐ飛んで来るから!」

歩美はコナンの手を取ってそう言う。

「あ、ああ…ありがとう」
「チェッ…いいよな」
「僕達も入院したいですよね」

光彦と元太がうらやましそうな顔でコナンを見る。

「なかなかおモテになって、結構ですな〜色男」
「コナン君達可愛い〜!」
「ハハハハハッ」

コナンは小五郎と名前に愛想笑いをする。

「それじゃ、失礼しま〜す!」
「じゃあなコナン!」
「サンキュー!」



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