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超短い文ふたつです。

「ハルさんはどうしてプロデューサーになったんですか?」
彼女にそう聞かれて、思わず言葉に詰まった。答えは用意してあったのだ。アイドルたちが輝く手助けをしたい。アイドルは私にとって憧れで、キラキラとステージで歌って踊る彼女たちは、私の星だった。でもそのことは言わなかった。言えなかったのだ。憧れなんて呼ぶには、私のあなたに向ける気持ちは汚れすぎてしまったから。
20/1/29

がちゃり、とドアを開けると、ふわりと美味しそうな香りが漂ってくる。これは肉じゃがだろうか。急いで自分の部屋にコートとマフラー、鞄と腕時計を置いて、キッチンに向かう。
「春香ただいま〜、ご飯作ってもらっちゃってごめんね、ありがとう」
「おかえりなさい、ハルさん!今日は肉じゃがですよ!」
「やっぱり!すごい美味しそうだよ、食べるの楽しみ」
「えへへ、そうですか?実は私も今日は結構うまく作れたなって思うんです」
若干照れつつも嬉しそうに笑う春香に私もなんだか嬉しくなってしまう。次の食事当番の時は何を作ろうかな。
20/1/31