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考えていたんだが、俺たち刀剣男士は刀だろう?急にどうしたって?まあとりあえず聞いてくれ。俺たちは人の形をして人の様に過ごしてはいるが、人として生きてはいない。俺たちは確かに刀で、それを否定されてしまっては何も始まらない。きみたち人の思いがあって、神やら妖怪やらは存在できるんだからな。
まあそれで、俺たちは刀である、という前提のもと話を進めると、俺たちは刀であったはずなのに、ある日突然人間の姿になっていた、という状況に置かれているわけだ。ある日突然……まあ確かに、本霊やらなんやらの協力がなければ分霊の刀剣男士は顕現できないだろうが、それでも体感的には突然なんだ。本当に。
今まで自分を振るい、あるいは飾り、作ってきた人間に、俺たちがなっている。それってかなり不思議だろう。きみたちだってきっと、ある日起きたら人ではない何かになっていた、となったら、それが豚にせよタンポポにせよ神にせよ鉄にせよ、少なからず動揺するだろう。それと同じだ。
畑当番やら馬当番やら、とにかく仕組みとして、俺たちに人間の様な暮らしをさせている、ということにどういった意図があるのか俺には分からないが……。
いや、本当によく分からない。刀というモノだからこそ、時間遡行に対応できるというなら、 俺たちに人間らしい暮らしをさせることはデメリットしかないんじゃないかとすら思うな。だってこうやって主人に恋慕の情を寄せたりする奴も出てきてしまうのに。
……ははっ、驚いたか?冗談じゃないさ。俺は君のことを好いているさ。それもかなり前からな。……その反応、もしかして気がついていなかったのか?驚きだぜ……。
……まあ、深く考える必要はないさ。遠慮なく刀解処分にでもしてくれ。なんたって俺はきみの刀なんだからな。