01
「はぁ…」
私のため息は虚しく、この今はまだ何もない寂しい部屋に響いた。
「どうしよっかぁ…」
何もない、と言っても部屋には必要最低限の家具等は置いてあるから暮らすのには問題ない。この部屋自体は結構なマンションの一室であるから、キッチン、バスルームはもちろんリビングやダイニングもちゃんとある。私はこれからここで一人暮らしをしなければならない。まず、備え付けの冷蔵庫に食材を入れなきゃいけないし、その他日用品を買いに行かなければいけない。
そもそも何でこんな事になったか、だ。昨日…うん、そう昨日なんだけど…
「名前ー!」
「…どうしたの?」
「お父さんとお母さん、ドイツに行ってくるから!」
「…え?」
もう何言ってるかわかんなかった。語尾には「キラッ」って感じの音が付いてるんじゃないかって思わせる話し方。
「え、何どういう事…?話が見えない…」
「章弘にも言ってあるから大丈夫」
大丈夫の意味とは。
「で…それが何?」
「一人暮らししなさい、名前」
………。
「おいお袋、名前が困ってる」
「お兄ちゃん…」
その後の兄とお母さんの話によれば、お父さんの仕事の関係でドイツに急ぎで行かなければならないらしい。その仕事がいつ終わるか分からないけど、お母さんも着いて行くとの事。それで何で一人暮らしなんだろ。家に居ればいいじゃん。お兄ちゃんもいるしさ。
「それは…んー、あれよ。社会に出た時の為。章弘も一人暮らしするのよ?」
「え、お兄ちゃんも?」
「お友達と一緒に住むらしいわ」
「それ、二人暮らしじゃん!」
「あら、そうね」
あはは、じゃないよ……
「私無理だよ、一人暮らしなんて」
「いずれする事になるんだから、頑張りなさい?転校しなくていいように一応今の家からは近いマンションに決めといたから」
「名前、俺もたまに遊びに行ってやるからさ」
「お兄ちゃん…」
「なんかあったらすぐ言えよ?とりあえず、頑張ろうな?」
「うん」
お兄ちゃんありがとう、本当大好きです。この家1番の常識人だと思う。多分。お父さんはこんな時にゴルフ行ってますから。
それで今の状況に至るわけです。家からはある程度の荷物は持ってきた。いざとなれば家戻ればいいんだけど、鍵はお兄ちゃんが持ってる。
「うん、とりあえず寝よう…」
ベッドにボフッと倒れ込み眠りについた。
110910
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勝ち気なエリオット