頭痛い。保健室行こ。
ガラガラ…
「…誰もおらんやん」
先生おらへんけど勝手にベッド使わしてもらお。
「?」
なんか寝息聞こえる。
シャッ
「…名前さんやん」
ベッド仕切ってるカーテン開けたら、そこに寝とったんは綺麗な顔して女みたいな寝息たてとる一個上の先輩やった。
「…ん」
寝返りうつ名前さん。ほんま顔綺麗やな。そこらの言い寄ってくるキャーキャー煩い女どもよりもよっぽども綺麗や。日焼けしたことなんてないやろってくらい透き通る肌に本当に染めてんのかってくらい傷んでなくてサラサラの明るい茶色の髪の毛。謙也さんとかアレ絶対傷んどるもんな。
「…かっこええっすわ…」
言葉より先に名前さんの頬に触っていた
「何?光」
「…」
名前さんを触っていた腕は名前さんによって掴まれた。
「すんません…」
「いやいや、謝らないでよ」
ははっと笑う名前さん。
「謝るといえば…俺も光に謝んなきゃ」
「何がっすか?」
「あー…えとー名前忘れたけど、アレ、光の彼女?の子とちゅーしちゃった」
あー、あの女か
「別にええっすよ。なんとも思ってへんし、あんな奴。てか彼女じゃあらへんし」
あれ?そなのー?とさほど興味なさそうに言う名前さん。この人も本気で謝ってないいんやろな。別に構わへんけど。女から勝手に言い寄ったん分かってるし。
「あいつ色んな男とほいほいやってますよ」
「えービッチちゃん?怖いねー女の子って」
「人の事言えないやん」
「お?言うようになったねー」
ヘラヘラ笑う名前さん。小悪魔って言葉がすごい似合う。
それよりも
「名前さんとキスとかずるいっすわ」
「何、ヤキモチ?」
「…」
「お前可愛いなー」
そう言って名前さんは俺の顎を掴んだ。
くぐもった声が静かな保健室に響く。っ、息もたへん。
「…っ」
「あはは、ごめんごめん!」
「…慣れてますね…」
「うーん…数ならお前に負けないよ〜」
なんて呑気に言う。と同時にへんな嫉妬心が生まれる。俺以外ともしてるんだなって。俺の知らん奴とかとも平気で。謙也さんも例外じゃないはず。まぁ、来る者拒まず去る者追わずってのがこの人のやり方だから。
「相当ビッチすね」
「失敬な。ちょっと忙しいだけだよ」
そう言ってまたモゾモゾとベッドに入ってしまった。
130524
財前の頭痛どこいった
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