あー。マジでふざけんなよー。
「…はぁ」
なんで朝からおっさんに挟まれなきゃなんねぇんだよ…。もっと可愛い子がいい!
「早く着かねぇかな…」
都会の朝の電車はぎゅうぎゅう詰めだ。通勤ラッシュにのまれてしまった。連休って言っても世間的には会社に行かなきゃいけない人がほとんどだろうな。そんな中で俺は両端にサラリーマンのおっちゃんを従え電車に揺られてる訳ですわ。
「あー…綺麗なお姉さんとかの横がいい」
朝から加齢臭とかふざけんな。
あ、降りてった。
大きい駅に着いてサラリーマンやOL、学生が一気に降りて行ったと同時に隣のおっさん達からも解放されたのだった。電車にいた学生の半数は降りていったが、立海はもう少し先の駅で降りた方が近い。
「やっべー!」
「?」
たくさんの人が降りていくのと入れ替えに一人の男の子が乗り込んできて俺の横にドカッと座った。
「……赤…也?」
「あ?…って、名前先輩?!」
「やっぱそーだよな!」
「ちょ、なんでいんすか?!え?!」
久しぶりに会った後輩はかなりテンパっていた。
「ちょっと帰ってきたー」
「あー、連休っすもんね。俺には関係ないですけどね」
「部活か。つか今日部活?」
「はい!絶賛遅刻中なんすよ」
「相変わらずクズだな」
「笑顔でそれはキツイっす…」
にしてもなんか大人っぽくなったよな〜。うん。イケメンなのには変わりないけど。可愛さが抜けた感じだな〜。まあ中身は何も変わってないみたいだけど。
「かっこよくなってて最初誰か分かんなかったよ」
「俺?そんな変わりました?や、でも先輩は相変わらずカッコイイ」
なんだよ、こいつ可愛すぎる…。
車内だという事を思い出し抱きしめたい衝動を抑えた。
「つら…」
「どうしたんすか?」
「なんでもねえよ」
横に座る可愛い後輩の頭を軽く小突いてやれば顔をほんのり赤くした。可愛すぎんだろ。降りる駅までもつかなー。
130622
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