わからないやつだな
微かに目を開ければ優しい光がまぶたの隙間を通して目に刺激を与える。鳥の声に起こされた私はどこかの漫画の主人公のごとくすがすがしい朝を迎えた。まだ光に慣れていない目をこすりながら体をベッドから起こし、軽く両手を頭上に伸ばした。目覚まし時計のアラーム音で起きるのが嫌いな私は、というか私の体は体内時計の所為かいつも決まった時間に起きることができる。そんな私の脳に響いてくるのは、スヌーズ機能を付けた携帯のアラームだ。2分置きに隣の部屋から聞こえてくる。
「ふざけてる…」
ベッドから出たら向かう先は一つしかなく、音の発信源に足を進ませた。
一応親しき仲にも礼儀あり、としてのノックをするものの返事を聞かぬまま隣の部屋のドアを開ける。まあ、返事が返ってくるとは到底思えないのだけど。
「いい加減にしてよ」
その部屋にいた人物のベッドに近付き、ばさっと掛けていた布団を引きはがした。もちろん携帯のアラームは止めておいた。
「…んっ…」
猫の様に体を縮こまらせ、何をするんだと言わんばかりの目でこちらを見てきた。
「何するんじゃ」
「何じゃない、とっとと起きる。てか止める」
「俺が朝弱いの知っとるじゃろ?」
「はいはい、朝練遅れますよ?」
手にしていた携帯を目の前の人物に戻し、いちいち反抗してくる言葉を流しながら部屋を後にした。部屋を出る前に窓のカーテンを全開にしてやった。今日は雲一つ無い晴天。そしたら未だにベッドに寝ている人物の顔に日差しが当たったらしく眩しそうな顔をした。目、覚めるでしょ?とニッコリと言えば、余計な事するな、なんて言われてしまった。まあ半分は良心からもう半分は嫌がらせなのだから仕方ないとそこは割り切って。
「まったく…」
はぁ、と溜め息を漏らしながら階段を下って行った。毎回毎回いい加減にして欲しいと思いながら、世話を焼いてしまう自分がいるのも事実で。それに小さな親切、
「大きなお世話…かもね」
と苦笑いする自分がいるのも、また事実だ。
110225