それでも世界は進む
特別な事なんて何もない。ただただ平穏な毎日を過ごすだけだ。今日も何気なく電車に乗り雅治とは途中で別れて、私は東京の学校に通う。そんな平穏な毎日が私は好きだ。駅を出て今日も一日頑張ろうと自分への葛を入れながら学校への一歩を踏み出した。
駅からはまたバスに乗って学校に行かなければならない。バス停について列の最後尾に並んだ。雅治はちゃんと降りれるだろうか。それは雅治も子供じゃないから電車くらい一人で乗れるのは知っている。ただ、ああも朝が弱いのだからいまだに眠気が覚めていないのは確かだ。電車の中でそのまま寝てしまって乗り過ごさないだろうか。そんな心配を毎日している。幸い今までにそういった事はないけど、いつかやらかすんじゃないかって内心はヒヤヒヤしている。
今日ももちろん雅治の事を気にかけていると、後ろから肩を叩かれた。
「よぉ、」
「あ、宍戸!おはよ」
誰かと思えば同じ学校の宍戸だった。彼はクラスメイトでもあり、私がマネージャーをしている部活の部員でもあった。
「今日も朝練頑張ろうね!」
「あぁ。でもよ、今日一時間目から体育だぜ?キツイよなー」
「運動部の男子がそんなこと言わない!」
「…わかってるって」
二人で笑っているとバスが来た。その後も学校に着くまで二人で話していた。宍戸は頑固な所もあるけど友達思いで優しいし、男女共に慕われていた。私も本当にいい友達を持ったなあ、って。
だから本当にびっくりした
宍戸から告白された時は。
されたのは今日。部活の後だった。何を言っているのか始めは理解できないくらい驚いた。
朝、バスから降り学校まで宍戸と歩いた。学校につけば部室に行き、いつもどおりに朝練をした。そのあとも普段と変わらず一日を過ごした。私はお弁当を忘れてしまったから購買に行ったけど、そこでみた宍戸はいつもと変わんなかった。放課後の部活の時も宍戸は特別何かするわけでもなく、これまたいつもと同じように部活に励んでいた。そして部活終わりになった時だった。マネージャーの私は部長と最後まで残り、部員を先に帰らせていた。
「おい、名前」
「ん?あ、宍戸お疲れー」
「帰り途中まで一緒に帰んねえか?」
「…う、うん。いいよ!じゃあ皆が帰るまで待ってて!」
部員皆が帰り、部長とも解散して校門で待ってる宍戸の元に行った。バス停でまた朝の様に話し、バスに乗って駅まで行った。そしてバスから降りた時に駅に入ろとする私を宍戸が止めた。
「名前!」
「…ん?」
その後はびっくりして私はしばらく固まっていたと思う。宍戸の口からは私がマネージャーを始めた一年の時から好きだったとか、部員の中にもお前が好きな奴らがいるけど俺は負けたくなかったとか、私に対しての思いを全て話してくれた。最後に「返事はゆっくりでいいから」と言って先に歩き出して帰っていった。
宍戸の気持ちは素直に嬉しかった。こんなにも私の事を思ってくれてる人がいるんだ…って。いつも以上に宍戸がかっこよくみえて、帰りの電車の中では宍戸の顔が頭から離れなくてしばしボーッとしてしまった。
ただ、何故か宍戸の顔と一緒に雅治の顔も同時に浮かんできた。そして家に帰ったら真っ先に言わなきゃって思った。雅治に。
110909