順不同の愛なんて

今日も別に昨日と変わらず学校へ行った。雅治と家を出て、電車に乗って、途中で別れて、バスに乗った。




宍戸とは会わなかった。




まあ元々毎日会う、とかなかったから会わない事はありえるけど。でもなんか…ね。




学校についた。今日は朝練がない。いつもサボっとる屋上に行く事にした。なんとなく今日は授業に出る気がしない。それはいつものことなんだがな。なんとなく気乗りがしない俺はこのまま一時間目もサボる事を決めた。





結局いつの間にか放課後になってしまっていた。今日一日、教室で宍戸と話す事はなかった。そして今日は部活が休みの日だ。教室の人も疎らになってきた頃、宍戸も教室を出て行こうとしていた。


「…宍戸!」

「…!」

「ちょっといい?」

「おお…」


私はすかさず宍戸を引き止めた。









「おい、仁王ー」

「ん?」

「マック寄ってかね?」

「んー…今日はよか」

「…お前今日なんか変じゃね?」

「そうかもな…」


友達の誘いも今日は断った。


「はぁ…」










「あのね…」


階段の踊り場に宍戸を連れて来た。今は人もあまりいなくて静かだった。








友達の誘いを断ったのは早く帰りたいから?もちろん別にそういう訳ではなかった。どちらかと言えば帰りたくない気持ちのが大きいかもしれん。ただ、昨日よりかは早く戻りたい気持ちもなくはなかった。もう日は西の空に沈みかけていた。









「ただいま」


やっぱり自分はまだまだ子供なのかな。考え方が甘いのかもしれない。誰かに頼らないと生きれないのかもしれない。それが目に見える支えだけじゃなくて心の奥から沸き上がる安心感や自分の心自体を預ける事ができる存在を求めてるのかもしれない。それが私には他人じゃなくて身近にいて、私自身に最も近しくて、親しい存在なだけなんだ。








「雅治」

「おー、帰ってたのか」

「私ね…断ったよ」

「……」

「宍戸の…断った」


目も口も開きっぱなしになるくらい間抜けな顔を俺はしてたんじゃないか。


「私はね…他人に頼れるほどまだ大人じゃないのかも」


妙な安心感と罪悪感とがぐるぐる混ざりあった。その時、俺もまだまだ子供なんだなって気付かされた気がした。でもしょうがない、と開き直る自分もいた。




「私、多分雅治の世話で他の人と居れる時間ないんだよ!あー、忙し」


「…なかなか言ってくれるの」



今はまだこの片割れに頼る事しかできないみたいだ。きっとそれはお互いが分かっていること。





「ご飯よー」


「はーい」
「おー」




fin.



110922

勝ち気なエリオット