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大きな門に広い中庭。長い長い渡り廊下に豪華な装飾がされた食堂。私学の学校ならではの創りに入学当初は目を瞠った。ここに通う学生の殆どは大企業の家の息子だったり何かの財閥の家のお嬢様、親が医者やら外資系に勤めてる。そんな所謂お金持ちの類である。しかし別に俺はそんなお金持ちの家の子供でも何でもない。外部から受験してこの学校に入った。言っても金さえあれば入れるこの学校も勉学においても部活動においてもなかなかの成績で将来就職とか進学を考えた時に、名前としてはかなり世間に知れていて有力であるから、やはり利用はしておきたいものだ。私学と言えども編入試験さえ受かれば入学できる。親が放任主義すぎてなんかもう自分で将来の事を考えざるを得なかった俺はとりあえず試験に受かった事に安堵していた。
それが去年の春だ。今はもう一年以上この学校にいる。学年も二年になり私生活も安定してきている。しかし中々なれないものもあるもので俺を見る好奇の目と気持ち悪いくらい崇拝されているテニス部という奴らだった。
「ナマエー、食堂行こー」
「俺今日パン持ってる」
「じゃ、それ持って来いよ」
食堂なんてあんなクソ高いもん頼めるかよ、とこの学校の金持ち共に言っても無駄なんだろと思う。俺が編入したの知ってる奴らは別にさっきの発言しかり特に気にも止める事はないけど、食堂行くとなんだこいつ食堂でランチ買わないの?みたいな目で見てくる奴もいる。誰もが金持ちだと思われても困るんだけどね。あとよく分かんないけど俺の見た目をよく思ってない人達もいるみたいで。陰で不良不良言われてんの俺知ってるからね。ちょっと髪色明るくてちょっと耳に穴開いてるだけなのに。例のテニス部とやらはもっと凄い髪色してる奴ばっかじゃん。赤髪とか金髪とかさ。なんだよな。こういの含めて気持ち悪い。胸くそ悪い。
「ナマエ、ナマエ」
「あ?」
「顔怖ぇよ」
「…わり」
余計な事を考えるとどうも眉間に皺が寄ってしまうみたいだ。人差し指でさすって皺を伸ばす。無駄な事を考えてもその時間がもったいない、無駄はないに越した事はない。関西にいる友人が前に言っていた。それもそうだなと。くだらない事考えても意味はないから。
食堂についたら中々人が多かった。友達と席を見つけ場所を取る。おれは朝、コンビニで買ってきたパンと紙パックのジュースがあるから椅子に座って友達に昼飯を買って来いと促した。豪華な装飾された食堂はそれはもうとてつもなく広い。しかしその広さを埋め尽くしてしまう人の数。そんな風景をぼーっと眺めながらメロンパンを頬張る。
「跡部様よ!」
「忍足くーーん!」
急に食堂が騒がしくなった。わぁっと人だかりができる。こんなん毎日起きてるから何とも思わないのだが。毎回毎回飽きないな、ほんと。半ば飽きれてしまう。
「なになに、どしたの?」
「あれ」
そこに昼飯の定食を持ってきた友達が帰ってきた。定食っていっても○○ランチみたいなやつ。さっすがー、オシャレですねー。
「なにお前、このヒラメのソテー食いたいの?えー、どーしよっかなー、えー」
「俺魚嫌い」
「うおえ?!」
美味しそうだとは思うけど羨ましいとまでは思わないかな。元から食に対してそこまで執着心ないし。それより、さっきの人だかりの騒ぎが煩くてイライラする。
「今日もすげーなー!テニス部」
「……」
「あんだけ女子に囲まれたら、もう俺ならウハウハだわ」
「……だる。俺戻るわー」
「お、おい!ナマエ!」
「先帰ってんなー」
くだらない事で騒いでるのにいい加減気づかないのかな。俺が冷めてるだけ?別に俺の考え変えるつもりはないけど。でも凄い気になる事もあって。例のテニス部に俺の仲いい友達がいる事。この事実には目を背けたくても無理だった。ショックだったなー。まさかって感じだな。
「…ナマエ?」
「………」
名前呼ばれた気がした。気がしただけだろう。そう自分に言い聞かせて人だかりの横を通りすぎた。通りすぎた時に黄色い声を浴びている軍団の一人の声が聞こえた。
「邪魔だお前ら。俺様のランチを邪魔すんじゃねぇよ」
は…俺様って。
「頭わいてんのか?アイツら」
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