「で、何」

「そう睨むなって…練習終わるまで待ってろ」

「はっ…」




意味わかんねー。なんでわざわざコートで待たなきゃなんないわけ?別に待つならここじゃなくてもよくないか。



「俺だってここに連れてきたかったわけじゃねぇ…」

「ん、何?なんか言った?」

「や、なんでもねえ。練習行くわ」

「おー」




放課後、宍戸に言われた通りテニスコートにやってきた。すでにテニスコートの周りには女子の群れ。黄色い声が耳をつんざく。テニス部に振り向いてもらおうと皆必死になって声を出して名前を呼んでいる。その姿を見てため息が出る。くだらねぇな、なんて彼女達からすればとても大切な事なのだろうが俺から見れば実につまらない事をしているようにしか見えない。



「皆暇だねー」



テニスコートの近くにあるベンチに座ってケータイをいじる。俺も暇っちゃー暇なんだけど。でもこんな所にいるくらいならとっとと家に帰りたい。でも宍戸が…久しぶりだから断れないし。しかたなく時間を潰す事にした。











「…ん、やっべ…寝てた」



どのくらい時間がたったかわからないが、どうやらベンチで寝てしまっていたらしい。あたりはもう薄暗くなっていてコートの周りを囲んでいる女子たちも少なくなっていた。テニス部達はというと一年生だろうか、コートの片付けをしている。どうやら練習は終わったみたいだが。宍戸の所に行ったほうがいいのだろうか。ベンチから立ち上がってふと考えたが、わざわざ探しに行くのも面倒なのでそのままベンチに座り直した。きっと向こうから見つけにくるだろう。









「ナマエ!」

「んあ?」



もう帰るのだろうか、テニスバッグを持った宍戸が来た。



「おー…で、何?」

「いや、一緒に帰らねえか?」

「……」



宍戸からのお願い。そんな事の為にわざわざ俺をコートまで呼んだのかよ。てか、そんな事ならもっと先に言ってくれればいいのに。そんな事を思っていると宍戸の後ろから別の声がした。



「宍戸悪いな」

「…は?」

「跡部も一緒にいいか?」




意味わかんねえ。なんでこの三人で帰るんだよ。跡部とか全く面識がない。それに俺こいつ苦手なんだけど。何してんだよという視線で宍戸を睨めば。気まずそうに目を逸らした。この野郎…。



「…早く帰ろうぜ」


こんなと所で突っ立てても埒がかないのでさっさと俺は歩き出した。












三人で歩いて帰っているが終始無言である。別に沈黙が苦手なわけではないけど、流石にこの三人で歩いて沈黙は気まずい。時たますれ違う他校の女子が跡部や宍戸をチラチラみながらなんか話しているようだ。目が合ったのかキャーと小走りで去って行った。そんな中気まずい沈黙を破ったのは宍戸だった。



「ナマエ、お、俺…よ、寄るとこできたからちょっとこっちから行くわ」

「は?って、おい!」



急に宍戸は用事があると行って俺たちが向かう方向とは違う道を行きだした。待て待て俺いまからこいつと二人きりなわけ?!ふざけんなよと跡部を一瞥したあと宍戸を見て舌打ちをした。

空を見れば何やら雲行きが怪しかった。





130801

勝ち気なエリオット