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※やんわり閲覧注意です。
宍戸がいなくなってからもお互い無言のままである。まあこいつと話すことなんか俺はないけども。でもなぜ宍戸は跡部も連れてきたのだろうか。当の本人は用事があると言っていなくなってしまったし。この後俺はどうしたらいい?そもそも跡部は家どこなんだよ。俺は宍戸の家は知っている。が、こいつがどこに家があってこのまま同じ方向にあるのかなんて全くわからない。面倒な事になったもんだ。宍戸の野郎、明日呼び出して一発殴ってやろう。そう心に決めた時だった。頬に何やら水滴がかすめた感覚がした。空を見上げると、
「…まじかよ」
空一面を埋める灰色の雲。粒の大きい雫がポツポツと落ちてきて顔に当たる。次第に雫が落ちて来る間隔が狭まり、気づけば遠くでゴロゴロと雷鳴が聞こえる。俺は跡部の方を見ながら早く帰るぞ、と言い足早に歩き出した。あいにく傘をもっていない。
「あー…最悪」
結局雨は本降りになってきた。このまま歩いて帰るのもツラくなってきたので跡部と公園の屋根がある所へ二人して雨宿りする事にした。改めて言うと不本意である。
「ったくよー、んだよこの雨」
「さっきまで晴れてたのにな」
「おー」
部活中は快晴だったと跡部が言う。たしかに昼間は晴れてたよなー。通り雨ってやつか。隣を見れば雨で髪が濡れてセットが崩れている跡部の姿。こんなのクラスの女子が見たら卒倒するんだろうな、と幾分か俺より背の高い跡部を見ながら女子の倒れる姿を想像し苦笑いになった。こいつ雨で濡れてもすかしてやがる…やっぱ無理だわ…ムカつく…。
「さすがキングは違うねー」
ぽろっと悪態が口から零れてしまった。それを跡部が気づかないわけもなく、
「どういう意味だ」
「いや…雨降っても全く動じないんだなってね」
「そんなわけねえ」
少しムキになりながら答えてくる跡部。はは、ざまーみろ。なんて、心の奥でほくそ笑んでやった。鼻で笑いながら跡部にイヤミを言いまくる俺。性格悪っ。
「なんでも完璧な跡部様だもんな?こんな雨どーってことないっしょ?」
「うるせえ」
「こわー。そんな姿見たら女の子引いちゃうよー?」
宍戸がいたらきっと止めるんだろうけど、まあいないから俺が口を止める事はない。普段の跡部への感情がボロボロこぼれる。
「てか、跡部様がなんで俺と宍戸と帰ろうとした訳?」
「別に何だっていいだろうが」
「庶民と帰って楽しいわけ?え?お金持ちの跡部様よー」
「お前…」
次第に顔が歪んでくる跡部。表向きはにやりと跡部を見ながらイヤミをウダウダ言ってるけど内心爆笑している。
「跡部様は何?あんたも俺を馬鹿にしたいわけ?宍戸だけで十分だろ?…これは宍戸に怒られるか」
「……」
「あんた何がし……っ?!」
は?
意味わかんねぇ。
今の今まで跡部にひたすら憎まれ口をたたいていた俺。そんな途中で急に胸ぐらを掴まれたと思ったら今目の前にあるのは跡部の顔である。一瞬の出来事で頭が回らない。それに何だよ。どういうことだよ。嘘だろ?……嘘じゃねぇか。紛れもなく俺の口には跡部の口が重なっているのだ。身体が硬直してしまったが、気づいたとこで我にかえり必死に跡部の身体を突き放そうとする。するのだが、押しても体格の差があるせいか運動部との差なのか力ではかなわなかった。顔を離そうとしても頭の後ろから手を回されているせいか、それができないでいる。
「ふ…んん…!!」
ふざけんな、ふざけんな!くっそ、こいつ……
俺の口の中にこいつの舌が入ってきて中々に気持ち悪い。どうしていいかもわからず舌を噛んでやろうかと考えていた矢先、胸元に違和感を感じてビクッと震えてしまった。跡部が俺の頭を掴んでいる方とは反対の手で俺のワイシャツの裾から手を侵入させていたのだ。俺の胸元に手を這わす跡部。ワイシャツが雨で濡れているせいでベタベタに張り付く感触が増して超絶に気持ち悪くて鳥肌がたった。口がわずかに離れた瞬間に跡部の胸元を押し返し物凄い勢いで睨んだ。すると跡部はニヤリと笑った後、
「…ミョウジが好きだった」
その瞬間ぞわっと背筋が凍った。
跡部はそう言い左手はまた俺の身体を弄り、右手はまた強引に後頭部を掴んでくる。俺はもう跡部から発せられた衝撃の真実と今されている事に震えが止まらなくなったが、さすがにこれ以上は危ないと自身の脳が働き身体に少し力が入った。
「っ?!」
「くそ野郎…」
身動きか取れる脚で跡部を思いっきり蹴った。隙ができた跡部の手から抜け出し土砂降りの中に走り出した。後ろを振り返るなんてとてもじゃないが出来ない。したくもない。公園を出た後もひたすら家まで雨の中を走った。気持ち悪さやら怒りやら色んな感情のせいで涙が出てくる。人通りの多い道にでて街中の人にぶつかろうがとりあえず走った。跡部が俺に好意を抱いていたという事にもされた事にも、全てが腹立たしくまた気色が悪いと思い震えが止まらない。整理ができていない頭で考えた。あいつは…跡部は俺がこうやって拒絶しただけで諦めるか?そんなはずはない。あいつは欲しいものは何がなんでも手に入れる奴な事は分かってる。俺が睨んだ時にあいつは笑った。俺はあいつが大嫌いなんだ。そんな嫌いな奴とこんな事になるなんて。この先の生活に起きる様々な事を考えるととてつもない恐怖感と絶望感に襲われ吐き気が止まらなかった。
end.
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