結局あのまま玄関に突っ立ててもしょうがないのでとりあえず光(?)の話を聞く事にした。いまだ半信半疑であるからだ。
「で、君はなんでこうなったの?」
「君とちゃいます、…いつもみたいに光って呼んでや」
猫の光が私が怒った時にするようにしゅん、とした光にドキッとしてしまった。猫の光が容易に想像できたので、ああ、これはやっぱり光なんだなと納得してしまった。
「ひ、光はなんでこうなっちゃったの?」
「俺も分からんのです…いつも通り朝、名前さん見送ってベッドで寝てたんやけど…起きたらこうなっててん」
名前を呼んであげたら暗い顔が明るくなったのでちょっとホッとした。そして何故人間の姿になったのか聞いてみたが本人も分かってないらしい。自分の手や体を見ながら頭の上にハテナを飛ばしている。
「なんでだろうね…んー」
「まぁ、人間なれたらええなーとは思う時もあったけど」
「…まさか」
念じたらなれるものだろうか。
「名前さんと話してみたいって…名前さんの事俺大好きやねん。せやから人間なりたい思ってん」
「……」
光の唐突すぎる告白に絶句、そして赤面してしまった…。猫の時から綺麗な子ではあったけどまさか人間になったらこうもイケメンに変身してしまうのか。そしていう事もなかなか達者である…。
「あんたねえ…飼い主をバカにしないの!」
「でも顔めっちゃ真っ赤ですやん」
「ばか!」
「それに飼い主って響きめっちゃええな…ご主人様?」
こ、この子は…!にやりと笑って問いかけてきた。完全に主従関係が逆になってる気がする。そもそも猫は上下関係とかなく一匹でふらふらしてるものだから誰が偉いとか関係がないんだろう。
「と、とりあえず私お風呂入ってくるから待っててね。それから色々考えよう」
気分転換をしたくてお風呂に入ることにした。お風呂の中でこれからの事を考えるようにしよう。うん。明日詳しく友達に聞いてみる。
私がお風呂に向かおうと立ち上がった時、光がとんでもないことを言い出した。
「俺も一緒に入ってええ?」
「は?!」
「だっていつも入ってますやん」
「ばっか…それは」
確かにいつも光とはお風呂に入っている。でもそれは猫の時の姿であって、今この状態の光とお風呂に入るなんてことは絶対にできない。
「なんでなん?」
「なんでって人間のあんたと入れるわけないでしょ!」
「せやからなんでって…あ、俺が服着てるのがあかんの?」
そう言って着てるシャツを脱ぎ始める光。ちなみに今の光の格好は何故か黒いワイシャツに薄くストライプが入った細みのスラックス。それっぽいと言えばそれっぽいけどもなんでこんなホストみたいな格好になってしまったのだろうか。
「あだめだめだめ!脱がないの!」
「?」
「私一人で入るから、光はリビングでまってなさい。いい?」
「…しゃーないっすわ」
しぶしぶソファに座りなおした光。本当に焦った…。
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