それこそ、最初は本当に王子様って感じのイメージしかなかった。絵本からまんま飛び出して来ましたー、みたいな。すっごい色白くてさ、儚い雰囲気で。多分女んなったら絶世の美女。それでいてテニス部らしい。テニス部で色白って真面目に部活やってんのかよって思うかもしんないけど、部長らしい。ここの学校王者って言われてんだってよ。そんな部活の部長なんて、本当すげぇよな。まあそんな事で終わんないのがコイツの凄い所で、言うまでもなく女子にモテモテで成績優秀、先生受けもいい。テキトーにやってる俺とは縁のない人間だよ、全く。同じクラスんなっても話す機会もないかなとか思ってたけど。だから、めちゃくちゃビックリした、コイツの本性知った時。



「ナナシー」

「…なんだ幸村かよ」

「冷めてるねー」

「気のせい、気のせい」


なんだかんだ今では仲良い方。特に理由とかはないけど、強いて言えばふとテニス部の練習の見学に誘われたのがきっかけかな。王者って言われてる部活の練習風景とか興味あったし、幸村の部活やってる姿とかも見て見たかったし。



「で、何だよ」

「あのさ、2号館の2階の空き教室行ってくんない?」

「………やだ」

「何で?」

「むしろこっちが聞きたい、んで絶対俺にメリットない事だと思う」

「よく分かったね」


大方告白を断って来て欲しいとかだろう。自分で行けよ、何で俺が。まず俺が行ったら「え?何で」ってなるだろ。


「無理、また告白?」

「そそ、ね、だからお願い」

「お前、自分で行けよ」


えー、とか行ってる姿は傍からみたら凄く可愛いと思う。ただ考えてることはえげつない。


「俺行く理由ない」

「行けない理由は?」

「………」

「直接俺を呼び出してきたわけじゃないんだ。だから俺だって直接行かなくてもいいだろ?」


うわー。


「相手の子見たことないし」

「一回くらい会ってやれよ」

「んー、いーや」


会いもせず、話しもせず、断る。というか断りに行かせる…。


「お前本当怖いわ、悪魔だよ悪魔」

「え?小悪魔の間違いじゃない?」

「………」

「じゃ、俺部活行くから頼んだよ!」

「あ!おい、待て!」


まじで、本当あいつは性悪だよ。


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勝ち気なエリオット