絶対仲良くなれない、話合わない、とか思った。何でかって、理由は簡単で。自分と似てるから。自分程面倒臭い奴はいないんじゃないかって思ってんだけど、まあこいつも中々いい勝負なんじゃね?って気がした。面倒臭いってのは煩いだとかしつこいだとか対応に困る、とかの類ではなくて、むしろその逆でどうしたら扱えるのかって事。どう接しに行けばいいのか分からない。俺は自分ではそんな風に思ってるつもりはなかったんだけど、幸村に言われて知った。とまあ、そんな俺に似てると初めて思った男がこの仁王って男。うん、俺の昼寝の場所を堂々と奪ってるこの男なんですよ。
「おい……」
「……」
爆睡かよ。ざけんなー。俺の特等席だぞ、屋上のタンク上ー。
「おい、起きろ!つか、どけ!」
「んー………なんじゃナナシか」
「何だじゃねぇよ、ほらどけー」
「相変わらず口悪いのぉ」
「お前オンリーでな」
「酷っ」
雅治泣いちゃうー、とかなんか気持ち悪い事言ってる仁王を横目で睨みながら寝転んだ。
「お前さんサボりはよくない」
「お前が言えたことかよ」
「俺のクラス今自習やし」
「俺んち今古典だし」
「いや、それはダメじゃろ」
「無理、だるい…しかも仁王に言われても説得力ない。サボってる奴がよく言うわ」
「まーな」
ふーっと二人でため息をつきながら仰向けになった。白い雲を目で追いながら、あーあれ俺見たいかもとか思ったりして。掴み所がないと言われる自分について考えた時仁王よりかは位置定まってんのかなって。仁王は本当に掴めないし何考えてるか分からない。ふらふらしてるけど意外に何かと固執する所がある。でも掴めないのが仁王であって掴んじゃったらつまんないだろうなってのはある。ま、俺には掴む気なんて更々ないけど。
「!?」
急にケータイの着信が鳴った。俺のじゃないから仁王のだ。
「女か」
「メールかの…何で分かったんじゃ」
「え、お前女以外とメールしたことあんの?」
「……」
何でこんな面倒臭い奴がモテるのか俺にはさっぱり分かんない。幸村とかがモテるのは分かるよ?でもこいつ。なんかいつもふらふらしててさー、やる気なくてさー。顔はいいかもだけどさ、俺女だったら絶対やだね。まだ幸村のがいいや。女ってやっぱ所詮は顔?それとも最近はアンニュイなキャラがモテるのか?
「お前さん今失礼な事考えてるじゃろ」
「……気のせい」
「何じゃその間は」
「で、何だって?」
「は?」
「女の子」
「あー、“雅、今日は何時に待ち合わせる?”、“まーくん!リナ今日暇だから遊ぼ?”“雅治、今日家に親いないんだぁ”だとさ」
「何通来てんだ、つかお前遊び人だな」
「向こうから来るんじゃ」
「うざっ」
まさに女たらしの如き発言をさらりと言ってきた。一言一言がむかつくのは何故だろうか。「今日は調子悪いんじゃー」とか呟きながらメールの返信をしている。幸村といいこいつといい何なんだ。いつか復讐来るんじゃないかって俺の方がひやひやする。
「ナナシ」
「あー?」
「今日家来んか?」
「え、何そのお誘い、何する気?気持ち悪」
「違う、姉貴が会いたがってる」
「あー、成る程。お姉さん久しぶりに会うかも」
「放課後一緒に帰らんか?」
「いーよ」
しばらくごろごろしていたら授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。屋上を後にしダラダラと各々の教室に向かった。面倒臭いんだけどなんか一緒にいても疲れないんだよな。不思議と。
「あ!雅治ー!あのね、あのねー!」
まあ、俺が知ってる奴の中で1番殴りたいと思ってるのも仁王。
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勝ち気なエリオット