執着することはあっても依存まではしないつもりだ。執着でさえ自分の知識としての蓄えを得る為の手段であり、本人、物体への無駄な感情はない。部活の仲間達はそれとはまた別の意味での執着で、それはある意味信頼を意味している。深く干渉はしない。だが隙があればそこに付け入る事は多々ある。……しかし隙だらけというのも逆に扱いにくいというものだ。
「やーなーぎー」
「?」
「柳柳柳柳柳柳やな」
「一回言えば分かる」
遠くから俺を呼ぶ声が聞こえたかと思い振り向けばもうすぐ傍まで来ていた。だいたいこの男がこのテンションで近付いて来た時には何かしらの頼み事がある場合が多い。
「あのさー、辞書貸してくんない?電子辞書ー」
「また忘れたのか?」
「違う違う、仁王にパクられた」
こいつは週3単位で俺に物を借りに来る。今日は違うようだが大抵は「忘れたー」「失くしたー」と言っている。一体何をしに学校というものに来ているのか。そんなことを言えば、「めんどくせぇもん」と返してくる。つくづくやる気のない奴だ。
「いやー、すまないねー。毎回毎回」
「そう思ってるなら自分で持ってきたらどうなんだ?」
「だから今日は仁王が悪いんだって」
「今日は、だろ」
「……明日も大丈夫だ、多分」
「本当か?お前は一体何をしに来ているんだ…」
「借りに来てんだから一応は勉強にやる気を示してるつもりだっつーの。てか説教されに来た訳じゃないんで、じゃ。」
「ありがとなー」とこちらに振り向きもせずに手に電子辞書を持ちながらフラフラと歩いて去っていった。借りに来てると言っても使っているかはまた別の問題だと思うのだが。幸村によれば奴は7割方授業は寝ているらしいからな、いよいよやる気があるかと言うことには更に疑問が増えるばかりだ。ナナシという人物が今後のデータの課題であるのは言うまでもない事なのであろうな。
第一何故わざわざ俺に借りに来るのかも解らないのだがな。
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勝ち気なエリオット