雪に閉ざされた季節が終わる。
モルドランドにもようやく春が来る。
チェルの花が芳しくも咲き誇り、甘い実を求めて雲雀が枝先で歌う。
彼らが花の綻びで季節の巡りを知覚するように、人々もまた温かさに踊る小鳥の囀りで暖炉に新たな薪を焚べる手を止め、毛皮のいらない春の訪れを知るのだ。