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三郎と高杉を見送った後、そう言えば二人がここに来たのはひとみが呼んでいるという伝言を伝えに来たためだったことを思い出し井戸へ向かうと、丁度銀時が桂に引きずられていくところだった。
それを見送るひとみにおはようと声をかければ、もう昼になるけどね。と苦笑を漏らされたが時間的には午前のくくりだからまだおはようで大丈夫大丈夫。
「高杉さんに呼びに行ってもらったんだけどだいぶかかったね。ご飯冷めちゃってるよ?」
「使いに寄こす人選ミスー……多分察してるとは思うけど寝起き早々喧嘩だよ」
食事のメニューは冷めてもおいしいウインナーと卵焼き。ひとみにお礼を言いつつそれを口に運びながら、先程銀時達が入っていった部屋へと視線をやる。
「銀さん引きずられてったけど一緒にいたんだ? よかったじゃん」
ひとみは銀魂では銀さん好きだから、きっと二人で話せて喜んでいるんじゃないだろうか。何を話していたのかはわからないが、うちと違って喧嘩はないだろうと思いそう言うと「まあね」と嬉しそうな顔をした。
「ああ、そう言えばやっぱり私の事昨日話してた通りみたいだったよ。今回ははっきり口に出して男って言ってたからなー……」
「まあでも今のひとみは服装も合わせてイケメンだからわかるっちゃあわかるな」
シャツにカーディガンにパンツスタイルなシンプルさ。特にカーディガンは体のラインを隠すから、余計間違えるのかもしれない。
改めてひとみを見ながら、このイケメンっぷりで家事など完璧なのだから本当に男であれば求婚したいぐらいだな などとぼーっと考えながら、作ってもらった食事を完食した。
* * * * *
「そう言えば、さっき三郎に会ったよ」
「三郎?」
再び車に戻り暖を取り始めたところで唐突にそう切り出せば、当たり前ではあるがピンとこなかったようで首をかしげるひとみに、平賀さんちの三郎と言えば思い当たったようにああ、ともらす。
「ねえ里奈。源外さんが追われる切っ掛けになった出来事覚えてる?」
「そりゃあ高杉が初めてガッツリ登場した回だったからね。祭り会場で将軍狙ったからでしょ?」
あの回は他のキャラの回想シーンを除いて初めて高杉が漫画に登場した回。他のキャラと違った雰囲気を持つそのキャラに衝撃を受けたためよく覚えている。こう言ってはなんだが、厨二全開の発言にだいぶ衝撃を受けたのだ。その後そのキャラにハマった自分も自分だが……。
ともあれ、ひとみの質問にそう当然のように答えれば、
“じゃあ、その将軍を狙う切っ掛けになったのは?”
言いにくそうに発せられた言葉にハッとする。
そうだ、源外があんな行動に出たのには理由があって……。
別に忘れていたわけではない。理由があることも、それが何だったのかもちゃんと覚えている。けれど、
「三郎、しぬのか」
声に出してみればそれはとても呆気ない単調な響き。
正直現代に生きていていると人の死というものに直接触れる機会はそうない。あっても立ち会うことはまれだろう。
もしかしたら、だから、なのかもしれない。
「確か処刑って戦争後だよね。 じゃあこの戦争では死なないってことだし、それまでに何か手を考えれば何とかできそうだと思わない?」
「何とかって……原作で筋書きが決まってることを私達が動いて変えることなんてできるかな」
「100%できるとは言い切れないけど、もしかしたらに賭けてもいいんじゃないかなってね」
漫画の中なら自分達がどんなに頑張っても原作通りに進むかもしれない。
でも原作での攘夷戦争中に車で登場した人なんていないし、もしかしたらもしかするかもしれないのだ。
「いっそ、皆が戦ってるところに車で乗りこんで援護するってのもアリかも!」
「いや流石にそれは怖すぎるから……」
不可能はない!何て大それたことは言えないけれど、ただ何もしないまま別れが来るくらいなら出来得る限りの力でそれに抗いたい。
いけるかも……なんて考えを巡らせながらハンドルを撫でた。
馳せる先
(そうと決まれば作戦会議!)
18/0417