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見渡す限り焼野原。何もない、ない、ない。
黒く焼け焦げ、くすぶり、どす黒い染みがあちこちに見える。
空はどんより重い雲が広がり息苦しく、先程までの光景とはあまりにかけ離れすぎていてその場に留まることしかできない。

「どこだ、ここ」

ついと零れた声は、自身の頭の中を表すように掠れ 小さく頼りないものだった。
車内ではボリュームを上げたわけでもないのに流れる音楽が煩く聞こえ、乱暴にそれを止める。

訪れた静寂に目を閉じ全ての情報を拒絶する。
そうしてもう一度目を開けたら見慣れた光景があるかもしれない。確率の低い希望にうっすら目を開けてみるが、勿論そんなに都合よくいくはずもないわけで。
寧ろ状況は悪化していた。

どこから現れたのか、フロントガラス越しに見るソレは到底人とは呼べない異形で、こちらを覗き込む仕草は映像でも着ぐるみでもない生身感があり気持ち悪い。
見たことがないものだから と言うのもあるが、その姿形や手に持っている武器と思われる物にところどころ付いている赤黒い液体が恐怖を増幅させ、考えるより先に勢い任せにアクセルを踏み込んでいた。

ドンッと鈍い音と衝撃が何かを轢いたという実感を持たせるが、今はそんな事に構ってられない。
真っ白な思考のまま吹き出る嫌な汗もそのままにアクセルを踏み続け、整備のされていない地面をガタガタと音を立てながら走り続けた。


* * * * *


どれだけ走っても景色は大して変わらず、一向にこの場所を抜けられる気配はない。
たまに先程轢いた異形の集団と人間が戦っているところが遠目に見え、なるべく避けて運転しているがいつ鉢合わせてもおかしくない緊張状態にそろそろ精神が参りそうだ。

相変わらず重たい雲からははらはらと雪が降り始めている。
普段より気温が低いのか、一向に温かく感じられないため暖房の温度を上げようとした時。前方にあの異形の集団と、それに襲われそうになっている人影が目に入り、同時に嫌な予感が脳裏をかすめる。
まだ距離があるため確証はないが、それでもその姿は同じ学校に通い共に時間を過ごした友人にあまりに似ていて。

じわりと滲む汗をハンドルごと握りしめ、先程のようにアクセルを踏み込んだ。


降り注ぐ
(白が恨めしいと思ったのははじめてだ)
11/0213→16/0629