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突然の爆発音に浅い眠りについていた体は飛び起き、あたりに視線を巡らせる。
パラついていた雪がいつの間にか一面を覆っていたが、その分もくもくとのぼる黒煙が音の正体だと一目で分かった。
隣を見れば、先程の爆発音で起きたのだろうひとみも黒煙の上がっている方向を見ていた。

どう言うわけか、自分が突然ここに来たようにひとみもまた突然ここに来たらしい。
状況整理の為の話し合いは整理するだけの情報がなく何も進展せずに諦めた。結局、現状も帰る方法も何かしらアクションを起こさなければわからないのだ。

ともあれば、先程の爆発音は判断材料になるかもしれないわけで…

「おはよひとみ。早速なんだけど、あそこ行ってみない?」

「うーん…爆発ってところが嫌な感じなんだけど、色々見てみない事にはわかんないって話し合ったばっかりだし仕方ないかぁ」

幸か不幸か、この場所は道路や信号があるわけではないので黒煙が上がっている方向に真っ直ぐ進めばその場所に行ける。
眠る時にガソリンやバッテリーを気にして一度エンジンを切ったものの、寒過ぎて凍死する勢いだった為にエンジンをかけっぱなしにしたのが良かったのか、フロントガラスが凍ることもなく視界も良好ということで屋根に積もっているだろう雪をそのままに車を発進させた。


* * * * *


雪の所為で昨日よりも運転がし辛くなっているが、一応スタットレスタイヤに交換してあるし、そもそも此処には道路が無ければ対向車もいない。
すぐ横の崖(と言う程絶壁でも高さもない、いうなれば急な坂)や木などにさえ気を付けていれば何も問題がないと思うと少しは心に余裕が出来ると言うものだ。

目印であった黒煙は既に風に流されて消えてしまっていたが、同じ場所で何度も爆発音とそれに伴って黒煙が上がっているので目的地を見失うことはない。

「ねえ里奈…やっぱりあそこに行くのはやめにしない? あんなに爆発するってどう見ても危険だし」

「ひとみもそう思う? 確かに情報集めで死んだりしたら元も子もないよねぇぇぇぇ…よし、あそこは」

止めにしよう と言いかけた時、聞き覚えのある爆発音と車内を激しく揺さぶる大きな振動に襲われ、思い切り頬の内側を噛んでしまった。
噛んだのが舌じゃなくてよかったと思う暇もなく、一瞬の大振動が治まった車内は息つく暇もなくぐらりと傾き、気を付けようと意識していた崖に吸い込まれるがごとく落ち始める。

「「ああああちょっまっあああああ!!!!」」

高さがあるわけでも絶壁でもないため、落下時間は1秒もないだろう斜面。
だが、文字通り車ごと転がり落ちたためにその体感は半端ない。語彙力ないけどもう一回言わせてほしい。半端ない。
見知らぬ場所に散々聞かされてきた爆発音と振動のコンボが恐怖を増幅し、パニックの様に絶叫をあげながらも着地の衝撃に備えて身を固くしていると、想像よりは幾分か小さい衝撃と同時に車内の振動は治まった。

張り裂けんばかりに煩く聞こえる心音に生きていることを実感しつつ、放心しながら隣に座る友人とゆっくり顔を見合わせ ぎゅっと手を握り合った。

「し、死ぬかと思った…」

恐らく降り積もった雪が着地時クッションの役割を果たしてくれたおかげで怪我もなく生還できたのだ。
雪に感謝しつつ起こったことを確認しようと視線を斜面に向けた時、
どうにも見知った ふわふわ揺れる銀髪が目に映った。


積もりゆく
(白の中でも輝く銀色)
11/0215→16/0630