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ガタガタとただっぴろい道なき道を走る事数分。
私と友人の二人だけだった車内は現在乗員四名。一人は運転席に座っている里奈。
もう一人は助手席に座っている私。 そして残り二名は…
* * * * *
「迷子ォ!?」
訝しげに声を上げた銀髪の男は、疑いの目もそのままにまじまじと私達と車を見やる。
「いや 迷子と言うか、ここがどこだかわからないと言うか…」
「それを迷子っつーんだろ」
確かにそうだけど。 としどろもどろになりながら、私は必死に混乱している脳を働かせようと躍起になっていた。
待て待て、ちょっと落ち着いて順を追って整理してみよう。
まず…―――、
怪我もなく無事着地できたことに心底ほっとして、何が起こったのか確認のために周りを見ようとしたら、里奈が窓の向こう側を見て固まっていた。
何を見ているのか気になって覗き込んだ先にはふわふわと言うかくるくると言うか、とにかく銀色。
そう、あの時足を止めた本屋で目にした、死んだ魚の目をして糖尿に侵されている漫画の主人公 坂田銀時その人がいた。
―――…そう、いたんだよ。今もすぐそこにいるけども!
色々問題はあるけれど、特に問題なのは主人公の服装。
グレーがかった着物の上に、鎧?みたいなのを装備してその上から白の羽織。
ほぼ全体的に白い服装では嫌でも目立つ赤いシミがいたるところに…
どう見ても“攘夷時代”である。
「(ちょっと里奈これどうしようどうやって説明しよう?! ここ明らかに銀魂っぽくないかなっ)」
「(いや、説明何て無理無理!驚きすぎて真っ白だわ!! 目の前主人公居ちゃってるからな!!)」
それなら最初に襲ってきた異形は天人だった…?
その考えにお互い至ったところで コンコン とノック音が聞こえそちらに目をやる。
「取り込み中すまないが、一先ず礼だけでも言わせてもらえないだろうか」
一言で言うなら 出た だ。
坂田銀時がいる時点で他のキャラ、時代的に中心である攘夷の他3名はいるんだろうなと予感はしていたけれど。
原作の攘夷描写で多く一緒に居るなと思ってはいたけれどこんな時まで一緒に居なくても!
心の!準備を!させて!下さい!桂さん!!!
「…ん? 礼?」
「ああ。貴殿らの乗り物で天人を一掃してくれただろう?危ないところだったんだ、感謝する」
なんの事かわからず、窓を開けて桂の指差す地面へ視線を向ければタイヤの下から飛び出た何かの腕。
……腕?
「ちょっまっあばばばば里奈!車バック!誰か轢いてるからバックゥゥゥ!!」
そうして車をずらして見えたものは、人ではなく天人だった。
「っあーーーよかった…人轢いてたらどうしようかと思ったけど天人なら平気だ!」
自分が轢いたのが天人だとわかるやいなや、そうほっとして言う友人は「神楽ちゃんとか人と同じタイプは別だけど!!」と付け足した。うん、同意。いやでも何かを轢いたことには変わりないわけで、やはりゾッとする。
「……しかし、随分と離れたところに来てしまったな。一度戻らねばなにもできん。 銀時、一度戻るぞ。」
「それもそうだな。 …っあー、お前らついてくるか?」
二人はここで帰るのか、せっかく会えたのに…何て思っていると、銀時の口から思わぬ言葉が聞こえた気がする。
「銀時!何を言っているのかわかっているのか?!」
「わーってるよ。でもコイツら迷子みたいだし?お前だって助かったって礼言ってたろ。戻れば地図もあるしそれ渡すぐらいいいだろ」
しかし と尚も異議を唱える桂に、自分達も折角見つけた生命線を失うものかとなりふり構わず怪しいものではないアピールを繰り返す。勿論武器の類など持っていないし、力で到底敵うわけもない。
そうしてそのやり取りを見ていた銀時がトドメとばかりに「コイツらが乗ってるコレ、乗りたくね?」何てニヤリと笑って言うものだから、遂に桂が折れたようだった。
* * * * *
そんなこんなで現在乗員四名。後部座席の二人は車の走るスピードに驚きながら窓の外を見ている。
今走っている場所は戦ルートから外れているようで交戦している人達は見当たらない。
時計を見ればいつの間にか日暮れ近い時間で、もしかしたら今日は皆引き上げているのかもしれない。(戦が会社みたいに定時終わりとかあるのか知らないけれど。)
そんなことを考えながらミラー越しに後ろの二人をチラチラ見つつ、不安はあれどありえない夢のような出会いに心踊る自分がいるのを確かに感じた。
五分五分
(ああ!走行中にドア開けたら落ちる落ちる!!!!)
11/0308→17/0523