「〜〜〜〜っ もうやめだ!!」
そう言って足早にサブウェイを出たのがつい先程。
ポケモンバトルがあんなに面倒臭い物だったなんて、暫くまともなバトルをやっていなかったため忘れていた。
元々ポケモンに指示を出して戦わせることがそこまで上手いわけでもない。第一今の自分にとってのバトルとは、所謂リアルファイト…つまり人間同士のいざこざである。
そこにうまくポケモンの技を取り入れて殴りかかるのがアタシ流だ。
だから、サブウェイで何度トレーナーに殴りかかりそうになったか…しかも、最近パタリと見かけることのなくなった敵対チームの奴らがサブウェイハマっていたりとなんとも居心地の悪い空間だった。
一つ、電車にバイクで乗るなと本気で思った。許可してるあそこはやはり廃人のみ集まる変な空間なのだろう。
とにかく、そんな変人に付き合いながら21戦?無理無理無理。
もうあれはあの男の自己満足だったということで放置しよう。アタシはちゃんと礼を言いに来たのにそれを変な取り巻きと間違え伝えさせてくれない駅員も悪い。
どうせ菓子折り付けて郵送したって危険物かもしれないってまともに取り合ってもらえないだろうことは目に見えてるし、それなら金の無駄だ。
多少スッキリしないとこはあるものの、そこまで苦労して感謝するほどのこともしてもらってないんじゃないかと自分に言い聞かせ、仲間の待つ場所へとバイクを走らせた。
* * * * *
「で、結局1日粘ってみたけどたどり着けず帰ってきたってことっすか?」
「乗り込むときさっさと終わらせるって相棒のボールなでててかっこよかったのに!!」
「…確かにそうだけどそういう言い方されっとすげー腹立つとりあえず蹴らせろ」
「えっ!?」
理不尽っすー!と嘆く仲間を軽く足で蹴り皆と笑う。
世間では不良だのチンピラだのとにかく良くない言い方をされるが、こうして仲間同士じゃれあうのは他と変わらないじゃないかと常々思う。
確かに喧嘩もするがそれには理由があるし、自分達から吹っ掛けたことなど一度もない。
ここに集まっているメンバーは人付き合いが下手で、周りから浮いてしまった者の寄せ集め。それでも世間ははみ出しもののレッテルを貼り、それは一度貼られてしまえば容易に戻れない。
まあ、深夜に外で集まっている集団を見ればイコールで危険、関わりたくないと思われるのは仕方ないが、昼間の世界で生き辛いんだ、これぐらい許して欲しい。
仕事帰りなのかこちらをチラリと見やり、足早に立ち去る人達を見ながらチクリと何かが刺さる感覚。
ふと脳裏に浮かんだのはずっと昔、自分が周りとの接し方に苦労して、泣いていた頃出会ったあの人。
もう顔も覚えてないが、あの人は元気でやってるだろうか。
あの日、あの人に助けられ、その周りに居た人と過ごした数日。
それがすごく楽しく、個性的な人たちを纏めるあの人に憧れて自分も同じように辛い思いをしている人達の拠り所になれたらと。
周りが貴女から目を背けても、俺は貴女自身を見ていますから。
そう言って微笑んだあの人の顔はもう覚えてないけれど、何故か少しだけ、あのお節介男に似ていると思った。
憧れ
(それでも胸に刺さった何かは取れないまま)
20130116