「あれ、ソプラちょっと太った?」
ほっぺぷにぷにー なんて悪びれる様子もなく笑いながら人のほっぺを連打するクダリに若干の殺意を覚えたが、実際のところその通りなのでグッと堪え、
それもこれも皆あんたの兄さんのせいだよ!
と内心毒づいた。
* * * * *
「おやつとデザートを抜いて食事の量も減らして欲しい…?」
「うん。流石に3食がっつり食べてるのに10時と3時におやつ、夜の食後のデザートってのは多すぎると思うの」
特に、3時のおやつは基本的にケーキだ。
そんな高カロリーな物を毎日食べていれば太りもする。
それに私は専業主婦(とは名ばかりで、料理洗濯掃除なんかは目の前の男…まぁ旦那がやってしまうから実質ニートだ。)のため、日がな一日家でごろごろしてしまっているのである。
これじゃあメタボ一直線だ。
運動すれば なんて聞こえてきそうだが、そんなもの続かなかったのは言うまでもない。
だから、泣く泣く美味しい料理やおやつを減らす作戦に出たのだけど……
「わ、わたくしの料理が口に合わなかったのですね…!わたくしがもっと腕を磨いておかなかったから…っ
同棲しはじめた頃あれ程ご自分で作ると仰っていたのはそのせいだったのですね。
なのにそれに気付かず今まで我慢を強いていただなんて申し訳が…!!!」
「違う違う、ノボリの作るものは全部ほっぺが落ちる程美味しいよ!
あんまり美味しくてつい沢山食べちゃうから用意する量を減らしてって言ったわけで…」
私が料理するって言ったのも、朝から晩まで仕事をこなしてるノボリの負担を増やさないためだったのに、何を勘違いしてるのか「そんな気遣い無用です!」なんて言い出す始末。
「そ、そう言えば今日の夕飯なに!?」
「ロールキャベツと…」
「いっただっきまーす!
うん、美味しいっ物凄く美味しいよノボリ!!」
そう言いながら食べると、最初は無理しないでくださいましとかあわあわしてたノボリだったが、「こんなに美味しい料理、口に合わないわけないでしょ?」ってあーんをしてあげたら徐々に落ち着き、嬉しそうにし始めたのを見て一安心。
ノボリの料理が美味しいのは事実で、サラダを作ればドレッシングまで自分作るし先日のカレーなんてスパイスから調合して全部作ったとか言い出した時はもうサブウェイマスターやめてお店持てばいいのにと本気で思った程だ。
現にこのロールキャベツも絶品である。
おかわり欲しい…
* * * * *
ガタゴトと一定のリズムを刻む車内に今日も鳴り響く戦闘音。
「だーかーらっ ここポケモンバトルするとこ!リアルファイトする場所じゃないっ…てぴゃぁぁぁ!!?」
「うるさい黙って付き合いなさい!!」
ダブルトレイン21両目に鳴り響くのは攻撃音は攻撃音でもポケモンバトルのではなくリアルファイトのものと、サブウェイマスターのクダリの悲鳴。
「ノボリが原因ならノボリのとこ行ってやればいい! 何でぼくのとこ来るの!?」
「私がノボリに攻撃できるわけないでしょ!
いいから大人しくお義姉様の言うことききなさい!」
「こんな義姉さんやだぁぁぁぁ!!」
結局食事制限を諦めた私が選んだダイエット法とは、運動により脂肪を燃焼させる最も基本的なこと。
「今日のおやつはチョコレートケーキだったんだから、しっかり相手してもらうんだからね!」
こうして毎日適度な運動をした私の体重は増えることなく、尚且つ優しい旦那の愛情たっぷりなご飯とおやつが私を満たすのでした。
めでたしめでたし!
「すっごい理不尽!ぼくかわいそうっ」
「うるさいアンタは大人しく聞いてりゃいいの」
「ソプラがクダリと仲良くしてくださるのは喜ばしい事ですが……少々複雑に御座います…」
「もしかして妬いてる?そんな心配しなくたって私はノボリが一番好きなんだから!」
「!!わたくしもですっ 世界で一番ソプラを愛しております」
「やだもうこんなとこで恥ずかしいっ」
「そんなソプラも大変愛らしいですよ。
ところで今日のおやつはフルーツタルトを作ったのですが」
「もうやだこの夫婦」
ダイエットはリアルファイトで
(ノボリ、はいあーん!)
20120123