直哉にされるがまま布団に組み敷かれたのもつかの間。鍛えられた男の大きな手が直織の首を覆う。そのままぐう、と力を込められ、直織は軽く目を見開いた。

「ぁぐッ……あ゛、ぁ゛ッ、……う゛ぅ」

布団を握る指に力がこもる。シーツに投げ出された足のつま先がきゅう、と丸まる。呼吸が不自然になって、合間合間に短く喘ぎが漏れてしまう。それに対してなのか、真上からはあ、と大きなため息が落ちた。

「なおちゃん、これぐらいでへばっとたらアカンで。ポンコツ兄さんらにまたなんや言われるわ」

首を絞めている男____己の兄である禪院直哉は、今日は機嫌があまり良くないらしい。首に置かれた手に力が加えられ、気道がさらに狭まる。
苦しい。痛い。気持ち良い。織り交ぜになった感覚が、直織の中でぐるぐると回る。
目の前がちかちかと点滅しはじめる。指先の感覚が無くなっていく。目がぐる、と回りそうになる。意識が落ちる寸前、直哉の手がふ、と離された。

「なんや飽きたわ」
「けほっ、」

飽きた、の言葉通りつまらなさそうに直哉が直織を見下ろす。
その視線を感じながらけ酸素を取り込むように数度咳を繰り返し、息を整えながら直哉の方を見上げた。

「なおちゃんはほんま弱いなぁ」

うっすらと笑いながら、直哉の指が首筋を辿った。普段、スタンドカラーのシャツによって隠されているそこは、繰り返される首絞めにより、うっすらと指の後が残ってしまっている。それにさらに笑みを濃くしながら、直哉の指が首に残った痕をなぞった。

「痕ついてしもとるな。折角なおちゃんの数少ない取り柄やのに…なおちゃん、もしかしてオレ以外にめされとる?」
「いえ、にいさまだけです」

目の前の兄以外にこんなことを許すはずもない。そう伝えれば、直哉は機嫌が良さそうに笑った。
するり、と首に触れられていた指が上に動かされ、唇に指が触れる。招くように僅かに口を開ければ、よく出来ました、と言わんばかりに目元を細めながらゆっくりと口付けが落とされる。
舌が触れる。くちゅり、と唾液の混じる音がする。直哉にされるがまま、直織は与えられるものに身を委ねる。
兄から与えられるものであれば。快感も痛みも、苦しみさえも。全部愛おしくて堪らないのだ。


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