9



そろそろ夕方になる。あれから全然勉強に集中出来ないので、夕飯の準備してきてもいいかと煉獄くんに尋ねる。「キッチンまで案内しよう!」といわれ、てくてくとついて行く。

L字型のキッチンだ。しかもすごい広い・・・!

ワークトップには人参、玉ねぎ、お肉、じゃがいも、市販のカレールーが置かれていた。
うん、見るからにカレーを作れと言われてるみたいだ。とりあえず、炊飯器でお米を炊く。みんなどれぐらい食べるのかわからなかったので多めに炊こうと思う。余ったら明日の朝食用でおにぎりにしちゃってもいいし、足りないよりはいいもんね。お米を炊飯器にセットし、いざ!カレー作り開始!!と気合を入れているところに
「あらあら〜、こんなところに可愛らしい子がいるわ〜」と鈴の音を転がしたような綺麗な声が聞こえてきた。聞こえてきた方を見ると、そこには超がつくほどの美人さんが立っていてニコニコと笑っている。ビックリしてその人から目を離せないでいると、「ごめんなさいね、驚かせちゃって・・・、私は胡蝶カナエといいます」この人が!!噂の昔馴染みの女の人!!え!想像してた何百倍も美人!!
さっきまでの落ち込みはすっかり吹っ飛んでいて この人と仲良くなりたい!とおもってしまった。それ程魅力的な人だった。

「わ、わたしは佐伯あゆみと申します!」
「貴方があゆみちゃんね〜!宇髄くんたちからよく話きくわ〜」とほわほわお花が飛んでいるように話す胡蝶さんに 「なんですかそれ!もっと詳しくお願いします!具体的にどんな話を!!」とつい食い気味にきいてしまった。だってみんなしてどんな話してるのか気になるんだもん。

「うふふ、あゆみちゃん、わたしのことはカナエって名前で呼んでほしいわ!」
「はい!カナエさん!!めちゃくちゃ美人です!」と要らぬことを言ってしまったが、ニコニコと笑ってくれている。これが女神か。

「で、一体どんな話を「おい、ちゃんと飯作ってんのか」 してるんですかと聞きたかったのに遮られてしまった、不死川くんに。

「大丈夫よ、私たちでつくってるから、ね?あゆみちゃん!」と笑顔を崩さないカナエさん。
「今日はカレーだよ!不死川くん!!!」
と不死川くんの方を見て言うと、なんていうかボロボロな姿だった。所々土で汚れている。傷も少し出来ている。え?なに?まさか・・・・・・

「喧嘩?」
「ちげーよ、少しアイツらと組手しただけだ」
なんで、組手?てか組手ってなに??てか、不死川くんの鎖骨あたり少し血が出てる!

「不死川くん!血!血が出てる!これで押えて!!」
気づいたら自分のスカートのポケットからハンドタオルを取り、その傷に当てる。軽くパニックだ。人の血なんてめったに見ないし、ダラダラと出てはないけど、止まらなかったらどうしようと半泣きになる。そんなことを他所に不死川くんは
「こんくらいなんてことねぇよ、いいから手ェどけろや」とか言っているが、無理にどかそうとはしないあたり、不死川くんは私に甘いとおもう。 「てか、近ェよ」とボソッと言う不死川くんの言葉で、ようやく はっ!と気付き、咄嗟に顔を上げる。顔を上げてしまったことにより、さらに距離が縮まってしまった。目と鼻の先に不死川くんがいる。そこへ運が良いのか悪いのか「・・・不死川と佐伯ちゃん、なんでそんなに近ぇの?」と宇髄先輩がきちゃったのだ。あれ?普段のバチバチに綺麗な顔がちょっと歪んでみえる。それもまたかっこいい・・・!!!!
そんな思いで先輩を見ていると突然グイっと顔を押される。しかも思いっきり。

「痛い!いたいいたい!!」
「いい加減、離れろや!!!!」
仏頂面の不死川くんにグイグイ顔を押され、すぐにお互い距離をとる。せっかく人が親切心で止血してあげようと思ったのに!

「あの、お二人はどうしてここに?」
「胡蝶がテメェに引いてねえかと思って様子見に来てやったんだ」
まぁ、その様子だと大丈夫そうだな と不死川くんが言う。

「とか言って、あゆみちゃんの料理してるところ見に来たんじゃないかしら〜」と相変わらずニコニコと話しているが微妙に圧を感じるのは気のせいかな。

「俺ら先に風呂入ってくるわ、さっき動いて汗流してぇし」
え!先輩のお風呂!!ちょっとやだ、エロすぎる!!!
動揺してドゴッと壁に頭をうちつけてしまった。