財前は同い年で自分と同じようにテニスをしているというから、これくらいなら普通に食べられるだろう。
薄縹色の少し大きなお茶碗は、棚の手前に入っていた。並んで置いてあった萌黄のお茶碗は成人した男が使うには少し小さかったから、きっと来客用だろう。
自分用にと、奥に入っていた紺色のお茶碗を選んだ。
「今日はいっぱい食べたい気分やったし、ちょうどええわ。」
顔をこわばらせたまま何も言わずにいるので多いのかと尋ねると、財前はすぐさま表情を変えてそう言った。
財前の顔が強張るのは二回目だ。
夕方、蒸し暑かったので冷房をつけると、さっきと同じように一瞬顔を強張らせて、「あんま強くせんでな。」と笑って言った。
顔を強張らせた後の笑顔が、とても薄っぺらいことに財前は気づいていない。
笑ったあとにしわを寄せて何かに耐える表情をしているのにも、それを自分が知っているのにも、気づいていない。