好きにして





「たかちゃん、お誕生日おめでと」

『うん、わかった(笑)ありがと、あきら』





ベッドに乗って、オレの足の上にも乗りあがるあきら。


向き合ったまま視線がぶつかると、ペたんと座ってオレを見た。







ちゅっと唇が触れた時、あきらはベッドに両手をついて、座ったままの姿勢で前のめり。

少し尖らせた唇が不意に自分のそれに触れて、あきらはちょっと恥ずかしそうに、それでも視線はそらさなかった。





「…」




もう1回、同じように触れて離れる。



「…」


再び触れようとしたのをわざと避けてみた。





「…?!」




むう、と膨れて不服そうな視線。


『もうええよ、あきら』

「…なんでなん、」

『…あきらこそ、そんなにチュッチュしたら明日唇腫れんで、明太子みたいに(笑)』

「…」



何か言いたげにしているのは完全に分かってる。

あきらの唇を受け止めながら、触れるだけで満足するあきらにちょっとイタズラ。






「…っん、」


『…』





逃げようとしたあきらの頭を手のひらで包み抑えると、むごむご言いながら顔が赤くなっていくのが見えてゆっくり離れた。





「…、」



薄く開いた柔らかい唇にもう一度キスをすると、触れただけでもピクッと肩を震わせた。

顎の下を親指で抑えて何度も口付ける。




ベッドが動きで軋む。






あきらはとろんとした視線を向けた後、ハッとした表情で顔を一気に赤く染めた。


「…たかちゃん、」

震える声で呟くオレの名前。




「たかちゃん、」

『…ん?(笑)』



ポンポン、と頭を撫でてやるとふにゅっと噛んだ下唇が柔らかそうに形を変えた。




「…たかちゃん、…お誕生日やから、今日はたかちゃんが…あきらのこと、すきにしてええよ、…?」





大胆な一言に、思わず目を見開いた。




『好きに?(笑)』

「…」



うん、と頷いてオレをじっと見つめるあきら。


吐息がかかるほどの距離まで詰めて、視界の端にあきらの赤い舌が見えた。




部屋着の胸元が大きく開いていて、正直何度かじっと見ていた事がある。


後ろへ押し倒し、枕に沈めるとすぐに覆いかぶさるように首筋に顔を埋めた。






『…』



鼻筋を滑らせるようにして唇でそこに触れると、あきらが小さく吐息を漏らす。





『……』


このままやと、ペースに飲まれる。



「…、」


細い指先にキュッと緩く髪を掴まれると、一気に全身に血が駆け巡る感じがする。






『好きにしてええよなんて、どこで覚えたん?(笑)』


「…」



じっと見つめると、目を逸らしたあきら。






「…、」


『そんなん言われたら、…好きにするで?ホンマに(笑)』


「…!」





自分から言い出したくせに、そんな顔すんのはホンマにずるいと思う。

赤く染った顔で、困ったようにオレをみるそれ。





胸元のボタンを外しながら、ショートパンツからのぞく足、太ももに触れるか触れないかで手を滑らせる。

確信的なことはまだ進めていないのに、あきらがギュッと目を閉じて少し震えるから、オレも心臓が強く脈打つほど煽られる。



「…たかちゃん、」

『…あきら』






アカン、

落ち着かんと、






「…たっ、」






涙目の赤い顔を見せられると、心底たまらない気持ちになるシュミを知ったのはあきらと付き合うようになってからやと思ってる。

甘えたのくせに、構うとよく泣いた。



扱いが難しいって思っていたのは最初だけで、今はただ、愛おしいと思うばかり。





『…、あきら?』

ぎゅっと抱きついて首を振るあきら。






「…あかるい、」

『(笑)、…もー、そんなことやろなと思った(笑)』




電気を消すように訴えられて笑う。


右耳の端にキスをして、ぎゅっと抱き込んだ。





『好きにしてって言われたら、そりゃあ好きにするで?(笑)』



髪を撫でてやると、胸に顔を埋められた。



「…たかちゃん、」


『…ん?なに?』





じっと見つめられるのを、何の気なしに見つめ返した。


『ん?』

「…」



繰り返される短いキスに動じることなく、何もせずに受け身のまま。

腕の中で大人しくなったあきらが、ぽそっと呟く。






「…たかちゃん、あきらのこと好き?」

『ん?なんで(笑)』

「…好き?」

『好きやでー?』

「…ほんまに?…たかちゃん見てると、たまに元々無い自信がますますなくなる」


『どういう意味やー?(笑)』


「…たかちゃんのお友達はみんな可愛い」




むくれた顔で何を言い出すのかと思えば、そう言って目を伏せた。



『あきらも可愛いやんか』

「可愛くない」

『可愛いよ(笑)』

「可愛くないっ」



何故か怒り出す。



「たかちゃん、あきらのことまだ子供やと思ってるから…」

『そんな訳ないやん、そう思ってたらチューとかせえへんよ(笑)よう言うてくるけど、子供やとは全く思ってないから』

「好きにしてって言っても、全然、し、…してくれへん、」



『…』




もごもご、恥ずかしそうに呟いて顔を隠した。



「ね、」



『それってさ』

「…」


『オレに好きにしてもらうことを、あきらがいちばん望んでるってことやんな?』

「…、」


『ってことは、オレのしたいことって言うより、あきらのしたいこと?(笑)』


「…それは、」


『…したい?あきら』


「………」



顔を真っ赤に染めて俯きながら部屋着の裾をぎゅうっと握る。










「…………………、」







コクッと素早く一度頷いたあきら。




「…だめ?」

『…』




あきらからそんなことを言われるのは初めてで、さすがに気持ちが高ぶってくる。

でも、高ぶるままに触れたらそれこそ大人げがないだろう。




『しよっか(笑)』

「…」



一度腕から離れたあきらに寄り添うため、静かに移動した。





ドサッとベッドにそっと倒すと、あきらの柔らかい髪が枕に広がる。

髪に体重をかけへんように、サラサラと避けたところに手をついて顔を近づけた。




…チュッとリップ音を鳴らしながら吸い付くように口付け、そのまま頬、首筋へと唇を滑らせていく。



あきらと重ねた手は指と指を交互に握り合う。



あきらはなんとも言えない困ったような表情でぎゅっと目をつむり、時折恥ずかしそうにたかちゃん≠ニオレの名前を呼んだ。



『…好きやで、あきら』



おでこのあたりをひと撫ですると、目を細めて笑うあきら。





「…あきらも、たかちゃんが世界で一番すき、」





***
2018.12.19