彼女がナンパされたら(花宮真)
「ねぇ、飯でも行こうよ?暇なんでしょ」彼氏が来るのを待っている間に、知らない男の人に絡まれてしまった……コレがいわゆるナンパってやつなのか。
「あの、私、彼氏待ってて」
ありのままの事実を述べた。大体こう言えば、そういう人達は引いていくだろう。だが、そう上手くはいかなかった。
「いいじゃん。じゃあ、待ってる間ちょっと……ね?」
私は困ってしまった。ああ、決して、この男性がしつこいから困っているわけない……私は忠告の意味を込めて言った。
「本当にやめてください」
「そんな……嫌がることないじゃん。彼氏いるの嘘でしょ。オレそういうの分かるんだって」
中々引き下がらない。ああ、どうしよう……このままじゃ。そう頭を悩ませていると、にっこりと爽やかな笑みを浮かべている真を見つけ、私は言葉を喪失した
「お前誰だよ?」
「やぁ、○○、待たせたね?」
彼はその男の方を一瞥もせず、私に向けて言葉を発した。
「映画、行こうか?」
そんな真の態度に男は怒った。
「ちょ、おま。人の口説いてる女勝手に盗るんじゃ」
男は顔を歪めた。
「痛てぇ」
男が言い終わる前に真がその男の足を思いっ切り踏んだからだ。
「ああ、すまない……人の女にちょっかい出そうとする鬱陶しい虫がいたから?つい?」
「てめぇ」
真が煽るような発言をしたので、男は真を殴りかかろうとしたが、真にその手を掴まれてしまった。
「人の女にちょっかい出してんじゃねーよ」
地の底からわき上がるような低い声だ。
男の怯えた顔見て、真は愉快げな表情を浮かべた。
「……××高校、バスケ部の△△クンだっけ?近いうち会えるのを楽しみにしてるよ……じゃあね?」
真は、私の手を取り、唖然とした顔の男を残し、その場を去った―ああ、今回も間に合わなかった……私は頭を抱えた。
「真、私に近付く男で遊ぶのやめなよ」
「お前に近付く男が悪いんだろ?早くしねーと上映時間、間に合わなくなるぜ?」
私は男選びを間違えてしまったのかもしれない。そんなことを思いながら、真と共に映画館に向かった。
(2022/06/21)