※注意。結婚して子供がいる設定。

「僕ね、お母さんと将来結婚するの」

某新婚さんを紹介する番組の放送を見ている時に、突然息子から言い放たれたその言葉に私は驚いた。もう私もそうやって言われる立場になったんだと思うと、ちょっと感慨深い気持ちだ。

「そっか。嬉しいなぁ」
「絶対だよ、約束」

息子が小指を差し出してきたので、私は自分の小指を絡ませた。ここまでだと、微笑ましいエピソードで終わるの思うのだが、ちょっとこの日の夜、私はとんだ目に遭った。

***
私の密かな楽しみは幼い息子の寝静まった後、旦那とお酒を楽しむことだ。今日は旦那が息子を寝かしつけてくれるらしい。もうそろそろいいかな。私はいつもの晩酌セットをリビングのテーブルに置き、旦那を待っていた。ら、物凄い勢いでやってきた。

「なまえ」

手を握られ、いつもおちゃらけ気味な旦那にしても珍しく真剣な表情で言われた。

「なまえはオレと結婚したから……」

よく意図が分からなくて、私は首を傾げた。

「それがどうしたの?」
「『それがどうしたの?』じゃあねーし。なんで他の男と結婚の約束してんだよ」

私の声真似が上手い。長年一緒にいるからだろうか。それより、あの光景を見ていたのか……彼はとても視界が広い。だから、キッチンから見えていたと彼から言われても、おかしくは思わない。

「見てた?」
「オレの目舐めてんの。全部まる見えなんだよ、バカ。てかオレはなまえちゃんのこと常に見てんの」
「ごめんて」
「なまえのこと一番好きなのもオレだし、
結婚したのもオレだかんな」

本気で息子相手に妬いているのか。良い歳した大人なのに……

「そうだね」
「何、笑ってんの?」

真面目な話なんだけど。と旦那は本気ではないだろうが、私に怒ってぶつくさ何か言っている。いや、半分くらいは本気で怒っているのかもしれない――そういや、彼に愛してるとか、好きとか伝えてはいるが、もしかしたらそれでは足りていないのかもしれない。……子供ができてから、二人きりの時間も減ってしまったし。少し彼の怒りが収まってから、折角なので、改めて自分の思いを伝えてみることにした。

「一応言っておくけど、和成との息子だから大切にしてるの。和成が一番だよ」

ようやく、握られていた手が離れ。安心したのも束の間、黙り込んで、しばらく経った後、彼はさっきと同じ真剣な表情で私の手を握った。

「もう一人子供作んね?」