「ふう・・・」
びゅうびゅうと吹き付ける冬の冷たい空気に、#NAME#はマフラーをきつく巻き付け、手をコートのポケットに突っ込んだ。
3月といえども、まだまだ寒い。
今日は待ちに待ったセナの入試合格発表だ。
入試前日までつきっきりでみっちりと勉強したのだから受かってはいると思うが、セナのネガティブな性格を考えて、一緒に見に来ることにしたのだ。
「っと、セナ!こっちこっち!」
遠くから見つけた学ラン姿はセナで間違いなさそうだ。
さっそく合流して、合格発表の表を見に近づく。
「受験番号は?」
「・・・・・・021。やっぱ帰ろうよ、落ちてるよどうせ・・・」
そう小さく呟いて、回れ右をしかける幼馴染の首根っこを掴んで、発表に向き合わせる。
「大丈夫。あれだけ勉強したんだから絶対受かってるよ。番号、021だよね?」
「う、うん・・・021、021・・・」
「あった!あったよ、021!おめでとうセナ。これで春からセナも泥門高校の生徒だね」
「人から10年ぶりくらいにほめられた気がする・・・」
合格の感慨にふけるセナを横目に、これまでの思い出が脳裏をよぎる。
(いつもいじめられていたセナを助けて、一緒に登下校してたなあ・・・)
「本当によかった。セナ、おめでとうって、あれ?涙が・・・」
「!?#NAME#姉ちゃん」
あの小さかったセナが高校入学にまで大きくなったのねと、なんだかお母さんのようなことを考えていたら、涙がポロポロこぼれてきた。
「あはっ、ちょっとびっくりしただけだから!!入学案内取ってくるね!」
(これからセナも高校生か。これからもセナがいじめられないように影から見守らないと・・・特にあの悪魔には絶対に近づかせないんだから・・・!)
そう心に誓い、#NAME#は事務局へ駆け出した。
* * *
「セナ、おーはよ!」
通学路を元気なさそうに歩く幼馴染を見つけた#NAME#は、バシッと後ろから肩を叩いた。
そして、いつも通りセナの制服をチェックする。
「あっ、ホラネクタイゆるゆる!」
「わ、ありがとう・・」
セナのネクタイをきつめに締め、2人は並んで泥門高校までの道のりを歩く。
「そういえば、セナ今度こそちゃんと友達作るんだよ?」
「と、友達くらいいたよ!」
「ああいうのは友達って言わない!」
思わず脳裏に浮かぶ、今までセナが受けてきたパシリの数々に#NAME#はついふくれっ面になる。
そうこうしているうちに、泥門高校が近づいてきたのか、この時期特有の部活の勧誘をしている声が聞こえてきた。
それを聞いた#NAME#の頭に名案が浮かぶ。
「あ、そうだセナ。何か部活入ろうよ!帰宅部の私が言えることじゃないけど、きっと何か部活を始めれば、友達だっていっぱいできるよ!ねっ」
名案!とばかりにニコニコと顔を綻ばせた#NAME#に、少しばかりセナは気後れする。
「子供じゃないんだから、もう。#NAME#姉ちゃんは心配性すぎるよ〜」
「あっ!!そうそう、友達がいっぱいできるのはいいんだけどね、1人絶対に近寄っちゃダメな人がいるから気を付けてね。名前はヒル魔って言ってね・・・」
そうのんびりとしているセナに、通学中これだけは言っておかないとと家を出る前から考えていたことを口に出した瞬間、同じく通学中の周りの生徒がおびえ始めた。
#NAME#からすれば、想定内の出来事であるが、セナからすれば当然ながらとても驚いたようで、あっという間に校舎へ駆け出して見えなくなってしまった。
「あちゃ〜・・・まあ名前だけは伝えているし、大丈夫かな?」
そう呟き、#NAME#はのんびりと校舎へ歩き出した。
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