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クラスメイトの種ヶ島と夢の国(tns)

ツイートまとめ
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修学旅行で夢の国に来た。親友と二人で回っていたが、ホーン○ッドマンションの大広間に通されたタイミングで、クラスメイトの男子が彼女の隣を陣取ってソワソワしているのに気付いた。丁度親友が気になっていると言っていた相手だ。ここは私が退散した方が親切だろう。
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そっとその場を離れ薄暗い場内で壁の方に移動していると、不意に人にぶつかった。「ごめんなさい」謝りながら視線を向ければ、怒らず「ええよ〜」なんて笑ってくれた相手はこれまたクラスメイトの種ヶ島だった。「一人で回っとんの?」「そうだとしたら虚しすぎでしょ。
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友達が、向こうで男の子と良い感じなの」「ホンマや」彼が相槌を打ったタイミングで場内が一段と暗くなり、アトラクションのギミックが始まった。この後乗り物に乗るはずだけど、一人でどうしようか。スピーカーから流れる音声に集中できないままストーリーが終わり出口が開いた。
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人の流れに沿って進もうとすると右手を取られた。「まだ暗いし、はぐれんよう手繋いどこか」何も返事なんてしていないのに、手を繋いだまま種ヶ島が歩き出す。「なんで?」「一人で乗り物って寂しいやん?」「それはそうだけど」「ほな行こか☆」
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驚きで頭が回らないのを良いことに、破綻した理論で丸め込まれた。離してと告げるタイミングを逃したまま待機列に加わったが、幸いほとんど待たずにコースターに乗り込むこととなり、「ここは結構明るいよ」なんて私の言葉を合図に手は離れた。
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アトラクションを楽しみ、最後には鏡越しの二人の間にゴーストが割り込んでいるのを見てひとしきり笑った後、コースターから先に降りた種ヶ島が当然のように私に手を差し出した。「なんで?」「早よ降りなもう一周行ってまうで」急かされるもんだから、慌てて差し向けられた手を取ってしまう。
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これじゃあ浮かれたカップルみたいじゃないか。混乱する私をよそに種ヶ島は見送ってくれるキャストさんにノリ良く手を振っている。「ここも明るいから、手握ってなくてもはぐれないよ」出口へ繋がる通路を歩きながら伝えると、種ヶ島は小首を傾げた。「嫌?」「嫌とまでは言わないけど……」
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「ほんならええやん!丁度俺も訳あって一人になってん。夢の国で一人とか寂しくて敵わんわ。せやから一緒に回ろ?ダメ?」「だ、ダメではないけど……」流されている。流されている気がする。でも断る言い訳も思い付かない。歯切れの悪い返事にも関わらず種ヶ島は開いた方の手でガッツポーズ。
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「折角やし目一杯楽しまな!次行きたい場所決まってんねん、行こ!」「夢の国詳しいんだね」「だって好きな子のエスコートはかっこよくやりたいやん?」そう不敵に笑う彼に手を引かれ、やはり混乱のまま今日を過ごすことになりそうだった。



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