
仁王と休日の朝
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まぶたの向こうがちらちらしている。ゆっくり目を開けるとカーテンの隙間から強い光が差し込み、陽が登って随分経つことを物語っていた。胴体に回されている腕を刺激しないようぐるりと身体を反転させると、そこには仁王の穏やかな寝顔があった。
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長いまつ毛は震える様子もない。薄手の毛布から素肌を晒した肩がはみ出している。昨晩彼が脱ぎ捨てたシャツは、知らぬ間に私に着せられていたようだ。寒さはとうに過ぎたが、風邪でも引かれたらことだと毛布を引き上げ整えてやった。さて、私ももう一眠りしてしまおうか。
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彼に擦り寄りかけたところで、そういえば寝ているにしてはずいぶん呼吸が浅いことに気づく。「ねえ、たぬき寝入り?」確証が取れないままそう囁くと、腰に回る手に力が入る。悪戯するように脚を絡ませながら、少し眠たげな瞳が姿を現した。
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「バレたか」「いつから起きてたの」「おまえさんがモゾモゾし出したあたりかの」「最初からじゃん」 性格わるーい、などと言ってみても本気でないのは彼も承知だ。欠伸をひとつ噛み殺しながら、空いてる方の手で枕に肘をつき私を見つめている。「今日はどうする」「どうって?」
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「朝飯……って時間でもないか。昨晩のお詫びをせんといかんからなぁ、何でも作っちゃるよ」休みの日の午前、同じベッドで目覚めた恋人が、優しく甘やかしてくれる。なんて幸せなのだろう。私は今度こそ彼の胸元に擦り寄った。「一緒にもうひと眠りはダメ?」
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「……あんま可愛いことしよると、食っちまうぞ」「それはダメ。おじさんみたいなこと言わないの。昨晩のお詫びって自分で言ったんだから」「はあ、俺の負けか」肩をすくめた仁王は布団を綺麗に私に掛け、自分も再び横になる。
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「愛だねえ」茶化して笑うと、「そりゃあな」なんて返事と共に額へキスが落とされた。次起きるまでに、何を作ってもらうか決めておかなきゃ。そう思いながら目を閉じ休日の贅沢に身を投じるのだった。