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種ヶ島と第二ボタン

プラスタグSS
「はいこれ俺の第二ボタン。プレミアモンやで⭐︎」

 最後のHRが終わりガヤガヤと一気に騒がしくなった教室の中で、声をひそめて修二くんは私にボタンを握らせた。本人のブレザーのボタンは袖口のものまで全部なくなっていて、果たして今の発言が本当なのかは怪しいところ。とはいえ真相を聞き出そうとしても、心理戦に勝てるとは思わないし一先ずそれは指摘しないことにした。
 どうしたものかとまばたきを繰り返すばかりの私を見つめ、発端をつくった張本人は何らかのリアクションを待っているようだった。こういう時は気の利いた返事が必要だろうか。

「えっと……いくらで売れるかな……?」
「売らんといて?!」

 よよ……と大げさに泣き真似をする様子を見て、これだから何が本当か疑わしいんだよなあなんて冷静に思う。ごく普通に言葉をもらえたら、私は簡単にじちゃうのに。

「どうして第二ボタンくれたの?」
「好きな子に貰って欲しいって思ったんやけど、迷惑やった?」

 首を傾げ扱い聞き返し方をされた。クラスメイトたちが固唾を飲んで私たちの会話に耳をすましているのを察しながら、私はさらに声をひそめた。

「合コンに行くのやめるなら、売らずに貰ってあげる」

絶対行かんから! と高らかに宣言した修二くんに抱きしめられる。おかげで教室は天地がひっくり返ったような大騒ぎに包まれた。



夜道