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銀ちゃんとあと一歩の関係(Ag)

※台詞前の「あー…」が好きすぎるのテンプレ
4.てきとー

***
「銀ちゃん、お登勢さんが来てるよ」
「あー…」
「家賃払えって」
「あー…」
仰向けに寝っ転がってジャンプを読むばかりのプー太郎は、適当な返事を返して足を組み替えた。玄関の方から並々ならぬオーラをひしひしと感じるが渦中の人物は慣たものである。
両者の凄まじい温度差に、何故か部外者の私だけが胃をキリキリさせてしまうのだった。
「家賃さ、立て替えとこうか?」
とにかくお登勢さんをこのままにしておくのは多分ヤバい。そう思い苦し紛れの提案を口にすると、足首をぷらぷらさせていた銀ちゃんは気怠そうに起き上がる。
「あー……、あ? そんな金どっから出てくんだよ」
「少し前に転職してね、今結構余裕あるんだよ」
「なに、そんな良いとこに拾われたわけ?」
「うん。お妙ちゃんのとこ」
「道場?あそこがくれるのはバーゲンダッシュだけだろ。アイスじゃ家賃払えねーよ?」
「そっちじゃなくて。キャバクラの方」
「……は。……いやいやいやいや!おかしーだろお前それはだってお前は俺の、」
死んだ魚のような目が大きく見開かれ大声でツッコミが始まったかと思うと、私の背後にあったはずの引き戸が銀ちゃん目掛けて吹っ飛んだ。キャサリンさんとたまさんを引き連れて家に上がってきたかぶき町四天王の一角を押し留めることは私には到底できそうにない。
この騒動、悪いのはどう考えても家賃を滞納している側。なす術のない私は、「下がってな」というお登勢さんの指示に従い、巻き込まれる前に万事屋から退散することにした。
「あ、銀ちゃん。さっきの続ききちんと言ってくれるまで私キャバ嬢辞めないからね」
そう言い残し踵を返せば、パラパラと木片が崩れ落ちる音と共にお登勢さんの呆れ声が聞こえた。もっと言ってくださいよと思う私は、結局銀ちゃんにかまって欲しいだけの面倒臭い女なのだ。
「銀時、あんたまだあの子とのこと宙ぶらりんなままなのかい」
「……うるせーババア。急いで追いかけるから今日のところは勘弁してくれ」



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