二話


「なまえ。突然呼び出してしまってすまないね」

 お館様の屋敷に入ったのはいつぶりだろうか。病状が前よりも悪くなっているが、優しい声と笑顔は変わらなかった。

「なまえが任務で活躍している事を、最近よく耳にしているよ」
「いえ、とんでもないです…」
 私の階級は"きのと"。
上から二番目の階級だ。

「隊士からは、『柱にも相応する』なんて言われているんだよ。」

嫌な予感がする。私は柱になんてなれやしない。
なってはいけないのに、まさかね。

「そこで、柱と合同任務をして、実力を見せて欲しいんだ」

予感はいつも、的中する。

「今回組んでもらうのは、無一郎。ある町へ行って鬼を倒して欲しい…頼めるかな?」

 御館様からの命令を、断れるわけが無い。
私は目立つ訳にはいかないのに、だって、柱なんかになったら。

刀に付けた鈴を握りしめ、小さく言葉にした。

「御意」




ヨル