プロローグ
0.プロローグ
あの日の私たちは、まだまだ大人になりきれない中途半端な子供だった。
幼なじみと呼ぶには近すぎて、姉弟と呼ぶには少し遠くて。
今思えば、曖昧な距離の中にいた。
その距離は気付かない内に私たちを縛りつけ、苦しめていたのだと思う。
幾度と巡る季節の日々の中、どちらかの存在が欠けたことなんて多分お互い無くて、当たり前のようにそこにあった存在に生かされていたんだと、今になって強く感じるようになった。
あの日々に名前をつけるとしたら、果たして何とするだろう。
あの日々に色をつけるとしたら、果たして何色になるだろう。
今だから分かる、あんなにも未熟で、不器用で、下手くそで、甘酸っぱい思い出の日々が、こんなにも現在の私の中に強く残っているという理由が。そう、今なら。
でも。少し、気付くのが遅すぎたことだって、ちゃんと分かっている。分かってるよ。
あの日に戻れたら。なんて、柄にもなく思ってしまう私は手の施しようがないくらいの馬鹿なのである。
でも、それでも。
私の頭、身体、心臓、掌、脳全体にこびり付いて剥がれない記憶を何度も思い出す。
今までも、今でも、そしてきっと、この先もずっと。忘れることなんてない。大きな事故にあって記憶喪失になってでも、きっとちゃんと私の中にあるに違いない。嫌でも思い出してしまうのだ。
掛け替えのない、愛おしい温もりの日々を。
愛おしく優しい日々を。
共に生きた証を。
あの、青すぎた春の日々を。
プロローグ