Maybe she is heavy sick.
日が落ちてきて、難しくなったソフィアの捜索は明日に持ち越しになり、キャロルに落ちる影が濃くなった頃。森の中からわずかに足音が聞こえ、我々は即座に武器を構えた。どうやら足音は一つではない。複数のウォーカーか、或いは。緊張感が走るなか、その正体が明らかになる。
信じ難いことに、そこには怪我ひとつないソフィアと──見知らぬ、小柄な女の子がいた。
Side of Shuri
「初めまし──えっめっちゃ武器向けられてるワロタ。
、、、
はぐれガールを届けに来ました。」
森を抜けた先には人がたくさんいて、男性陣は銃やら弓?やらを構えてわたしたち(まあ正確にはわたしだけだよね)に向けていたけど、ソフィアを見ると困惑しながらも戦闘態勢を解いてくれた。
「ソフィア!!」
「ママ!」
ソフィアがママと呼んだ女性とひしりと抱き合う。お母さんは涙を流して何かをつぶやいている。うんうん、そうでなくちゃ。母子の友情は美しきかな。我が家? まず母さんが帰ってこないからね。
「…さっきは銃を向けてすまなかった。君がソフィアを保護してくれたのか?」
「ぷろてくと…あー、イェス。私たちは森の中で出会いました。」
近づいてきた髭の男性が膝をついて目線を合わせてくれた。まだ警戒してるからか、お兄さんを止める声も聞こえた。いや、てかわたし膝つくほど小さくないと思うんですけどねお兄さんwちょw150はあるでござろう拙者w拙者はw 待ってこの人めっちゃ目綺麗、やば、
「宝石?」
「…何て?」
「あ、ごめんなさい。ミスターの目が宝石かと思った」
空気が死んだのを感じた。この癖どうにかしたほうがいいよね、ほんとわかる。わたしもそう思うもんね。思ったことすぐ口に出すのやめな〜? わたしの中のギャルも言ってっから爆笑。
「アー、それは、その…ありがとう。」
「お嬢さん、お礼を言わせて。私はキャロル。ソフィアの母親よ。ソフィアを…ッ、ソフィアを連れてきてくれて本当にありがとう。感謝してもしきれないわ」
「オー、マザーキャロル…ノンノン、それがわたしの仕事です」
ソフィアママ、通称マザーキャロル(今決めました。)は涙ながらにわたしの手を握ってくれた。仕事が迷子案内人のひとみたいになっちゃったな。一般人を守るっていうニュアンスで伝えたかったんだけどな。言語の壁って、あるよね。
「君はどこから来たんだい? 名前を訊いても?」
「シュリといいます。日本から旅行で来ました。」
「キャンプへようこそ、シュリ…だったかな? 歓迎しよう」
「うぇるかむ…? ああ、ありがとうございます、だけどわたしもう離れる。気にしないで」
「え?」
他にも亡者に襲われてる人がいるかもしれないし、そういう人を助けて回りたいんだよね。結界師のパトロール? なんて言えばいいんだろう。みんな複雑そうな顔してるな。ちゃうねん、別に気を遣ってるとかじゃないねん。
「遠慮しないでちょうだい。こんな小さな女の子を放ってはおけないし、あなたはソフィアの命の恩人なのよ。ご飯の用意がてらみんなを紹介するから、そこに掛けて待ってて」
「お、おお.......?」
口早に告げられた英語に圧倒されかけつつ、指定されたところに座った。キャンプって結構人いたんだなあ…
「改めまして、初めまして。私はローリ、夫のリック。こっちが息子のカールよ」
「初めまして」
ローリたち一家を筆頭にみんなから名前を聞いた。覚えられるか不安しかない。
「…ダリルだ」
「よろしくお願いします、ダルュ」
「あ!? Da-ry-lだ! ジャップは人様の名前も言えねえのか?」
「おいダリル、」
「デルュ、あなたのファミリーネームは?」
「諦めてんじゃねえ!!」
「俺にはアニキがいるからな、ファミリーネームで呼ばれたらどっちか分からねえだろ」
「お兄さん、呼ぶの、簡単かも! なんて名前?」
「メルルだ」
「メロオ…」
絶望感がすごい。いや呼びづれえったらありゃしねえわ、なんでこんな難しい発音の兄弟なん────ん?
「メロォって言った?」
「メルルだっつってんだろ!!」
「わたし、その人、知ってる」
アイ、ノウ、ヒム。日本語にしてたった6字だけど、ちゃんと伝わっただろうか。ダリューはわたしのほうを振り返ったまま固まってしまったので、声をかけようとしたそのとき、木に押しつけられ、鋭い痛みが走った。
『い゛っっ……!?!?!』
「ダリル!」
「何でアニキを知ってる? メルルは生きてるのか? どこで見た!?」
『いだいいだいいだい折れる折れる!!』
「答えろよ!!」
『答えるから肩掴むのやめろやゴリラか!?!?』
「落ち着け、ダリル! 彼女を離すんだ」
ローリの旦那さん(たしか)が駆け寄ってきて引き離してくれた。ううう痛かった……がっしりしたアメリカ人ナメてた……鎖骨折れてたら責任取って結婚してもらわなきゃなダローには……
「わたしね、空を飛び回ってて。なんか叫んでたから近づいたら、屋上でメロォに会ったの。」
「手錠が掛けられてたろ」
「ハンド…そうそう! それはわたしが壊しました」
「は?」
弟氏がイライラしているのは手に取るようにわかった。やっぱ結界術の説明しないとむずかしいよねえ……
「見るからに非力のお前に壊せるわけないだろ、ほんとはどうしたんだよ。お前もアニキを置き去りにしたから嘘ついてんのか!?」
「あー、アイルショーユー」
「あのね、守莉は魔法使いなんだよ!」
「はあ?」
ソフィア、ちょっと違うね。わたしは、
、、
「これで彼を助けました。」
間流結界術一族・墨村の一人娘、墨村守莉。以後お見知りおきを!
…ん? 墨村の娘、は母さんか? じゃあわたしは何?ひとり女孫? えっやだ全然カッコよくないじゃん、ちょっと待ってこれでチャプター終わんないで─────
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