人魚と云う生き物は胴までがヒト、腰から先が魚の組成であり水中でも容易く呼吸を継ぎ、反して乾きには弱く地上へと打ち捨てれば喘ぐ喉は忽ち枯れ、水を求めて悶えのたうつのだという。
伝承を聞く彼の表情は怪訝さが色濃く、放課後特有の静けさに満ちた夕映えの教室の中、緩く疑問符を投げ掛ける眼差しに悦を覚える。何故そんな話を、そう言いたげなのも制して学生服に指を掛けた。
戸惑いは恥じらいへ、年端もいかない少年らしからぬ色を漂わせる彼の服を剥いでいけば色白の肌には多量の傷、一目で分かる虐待の痕。真新しい縄で縛った痕跡、鞭打ちによる擦過傷、ナイフで胸元に刻まれた文字。
今日は何をするんですか、先生。全裸に剥かれても尚期待の篭る声音でねだる彼に、裸の儘で水練場へ移動する様命じる。この教室から150m、未だ運動場では部活に勤しむ生徒達が残る中での強要。
それでさえ素直に従うというのだから救われない。連日の調教で羞恥心が失われてしまったのか。
季節外れのプールにはひと気がなく、少し汚れた水を見た彼は潔癖らしく嫌な顔を見せる。その顔が見たかった。雨水や混入した枯葉で淀んだ水に顔をつける様に言うと眉間に寄せられた皺が本当に愛らしい。
今日のメニューは決まっている。
さあ、何度沈めてみせれば君は人魚に進化する?
ALICE+