頭が痛い。
今日も今日とて痛みで目が覚める。すでにお天道様が元気に顔を見せているこの時間帯。窓から外を見下ろせば、多くの人が精力的に活動している様を観察することができる。仕事に勤しみ、日々の生活を営んでいる彼らはとても生き生きしているように見える。それに比べて、こんな時間に覚醒するだなんて、僕はなんて不健康なんだろうか。まあ健康だったことなんて生まれてこの方一度もないのだけれども、なんて自嘲的な笑みが零れる。全く以てつまらないが。
二十一年と少し、日陰で暮らしてきたのがこの僕だ。何度両親に迷惑をかけただろうか。どれだけの病院に世話になっただろうか。ああ、悔やんでももう遅い。考えないのが一番だ。そう思い、乾いた喉を潤すために水を飲みに行こうと立ち上がった瞬間だった。
車酔いのような感覚が全身を襲った。それと同時に、仲良く手を繋いでやってくる強い眩暈。立っていられなくなるほどの勢いで迫ってくるそれらに僕の身体は耐えきれない。
眼の奥でバチバチと火花が走るような感覚。あれが来るのか、見たくないなあと朧気な意識の中、諦めたように目を閉じる。せめて事前に、この時間に来ますと分かるようなものだったら、僕だってここまで辟易することはなかったのに。ピークを迎えた線香花火のように激しく弾け始めた眼の奥の感覚に気づき、溜息を吐いた。
見えたのは夕暮れ時、から夜に変わっていく様子。そして赤い果実と見知らぬポケモンだった。空に瞬いている星は夕暮れ時からその存在を主張しており、夜にはゴーストが楽しそうに顔をだしている。残りの二つは見えたのが一瞬すぎてよく分からなかった。
「……何、これ。」
見えたそのイメージを消すようにガシガシと頭を掻く。
星?ゴースト?共通点も何もないようなその二つを連続して見せるのは何故だ。何を意味している。それと真っ赤な果実と見たこともない大きなポケモン、関係がないにも程があるだろう。正直これが今後の未来だと思いたくない。だって今まで見てきた中でも一・二を争うほど空漠たるものなのだから。
思わず声を出してしまうほどには意味不明で、その分気持ち悪いと感じてしまうものだった。忘れてしまった方が幸せなのかもしれない。どうせいつもみたいに何もできないだろうから。見えてるのに、分かってるのに。けれども忘れられない。史上最高に理解しかねるものだったから?分からない。
考えても無駄なものだ。そう勝手に決めつけて立ち上がる。ああ、更に喉が渇いてしまったなと思いながら階段を下りて行く。が、踊り場にある鏡を見た瞬間、嘘だろと声が出てしまった。いや、これは本当に嘘だと言わせてくれ。幻覚?幻視?いや、現実だ。
鏡の中に映った僕はかすかに笑みを浮かべていた。楽しそうだね、なんて声をかけられそうなそれ。無意識下?考察するのも馬鹿らしい。
けれど僕があの空漠な未来を見てから笑みを浮かべていたこと。それだけは紛れもない事実だ。