「あなたのことを知りたいと思うのは迷惑ですか?!」
シャラの地に響く女の声。しかしそれを聞く者は幸いにも周囲にはいない。この女に腕を掴まれて引き留められているこの俺を除いてはなのだが。
「………お前、」
前々から薄らと感づいてはいた。例え初対面の第三者が見たとしても分かりやすいほど真っすぐに俺に向けてくるその感情の名を知っていた。俺には関係ないものだと、俺の勘違いなのだと今まで無視をし続けていた。
しかしこうして正面から対面してしまった今、いつものように躱して、避けて逃げることなどできやしなくて。
突きつけられた感情は恋慕以外の何物でもなくて。
「お前、俺のこと好きなのか。」
俺は先程までの力も勢いもなく、周囲を流れている風に紛れて消えてしまいそうなほどの小さな声でそう尋ねることしかできなかった。
しかし俺のその情けない声は届いてしまったのだろう。女の顔は林檎のように真っ赤に染まっていた。