飛行船がひそひそと話すことには


別に恨んじゃァいませんが。母親のことは。
未だに因習と言う言葉が宛がわれてもいいような、笑っちゃうような概念が残るところで、外部との関わりをと声を上げる母親は正しいとは思っていますが。
だけれども。ええ、だけれども。私には生まれ故郷である其処は酷く生き辛いところでして。
少しだけ貯めていたお金と、大切な相棒たちと、あと少しばかりの私物を持って、私は空を駆けて行きました。
後悔はありません。と、言えればよかったのですが。まァ、母親に悪いことをしたなとは思っているのです。私は人間の心を亡くしたわけではありませんから。
だから私は、恋も、恨みも、憧れも、後悔も。未だに全てできるわけなのです。
堪んないね。
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