どこから来たの?と、親御さんは?と、その女性は問うた。
__答えられない。だって、自分にだって分からないのだから。なんと説明したらよいものか。したとしても理解できるのか。
そんなもの、説明すること自体が面倒であると己の脳は判断し、口を閉ざし続けた。
女性は少し困ったような表情をしていた。
「じゃあ、きみの名前は?」
___それも、難しい質問であった。
己はいくつかの名前を持っていた。
どんな場所でも、どのような事態に陥っても穏便に事が運べるようにと、いくつかの名前を与えられていたのだから。
10年以上前のシンオウ地方の話より抜粋