きみと私を切ってわける
ツグハのママは美人さん!とっても優しくてとっても素敵なママなの。
ツグハのパパはイケメンさん!あんまりおしゃべりじゃないんだけど、ツグハのことすごく大事にしてくれてるよ。
ツグハのお兄ちゃんは多分かっこいい!ツグハのことをお姫様〜だなんて言ってくれる、ちょっと変なお兄ちゃん。
家族の仲は円満!幸せな家族って、多分ツグハの家のことを言うの。ちょっと雰囲気の悪い家族の様子とかをドラマとかテレビで見ると、本当にこんなことがありえるの?って思っちゃうくらいには、仲良し家族。怒られたことなんて数えるくらいしかない。
だからね。はじめてなの。
「コーラルに嫌われちゃった…。」
人に嫌われるのがこんなに苦しいことだなんて、知らなかったの。こんなにも苦しくて涙が止まらなくなるだなんて思ってなかったの。
本当に知らなかったの。嘘だと思われるかもしれないけれど、本当。
だってツグハの友達、コーラルしかいないし。
ツグハ、家族関係には困らなかったの。でもね、その代わりに友達が全然できなくて。
ツグハが何か言うと女の子たちはみんな黙るの。それかクスクス笑いだすの。遊んでもくれないの。一回なんで?って聞いてみたけど、自分で考えたら?って言われて、それで終わり。ツグハ何にも悪いことしてないから、全然分からなかった。
話しかけてくれる男の子たちは少しだけいたよ。お兄ちゃんから教えてもらったんだけどみんなツグハのことが好きだから近寄ってきたみたいで、なんだかそれが気持ち悪くて、ツグハから関わるのやめちゃった。直接ツグハに告白してきた子もいたけど、ごめんねって言ってそれで終わりにしてもらった。
だからツグハは同年代のお友達が全然いなかったの。よく分かんないけどずーっと仲間外れにされてきたの。良い好かれ方っていうのができなかったみたいなの。
そんな中でも関わってきてくれたのがコーラルだったの。
親同士のお話合いに付いて行って出会ったのが最初だったかな。すごくコーラルが話しかけてきてくれてね。その時のツグハは家族以外の人と話すのが苦手だったから、すごくドキドキしたのを覚えてる。多分すごくしどろもどろだったと思う。まともな会話じゃなかったと思う。でもコーラルはツグハの話も聞いてくれて、それに対してまた話を返してくれた。それで帰り際にまた話そうって、今度ポケモン見せるって約束までしてくれたの。
コーラルはとっても優しい人。ツグハの初めてで唯一の、お友達。
その後何回も会ってお互いのことが分かって来て、それからちょっとしてプーくんに出会って、二人してプーくんに懐いて。よく分かんないけど、プーくんの家に集まるようにいつの間にかなったんだよね。
ツグハさ、あんなに落ち込んでるコーラルを元気に戻したかったの。なんとかして元の元気なコーラルに戻ってほしくて。だからツグハは頑張って色んなことに誘ったり、喋ったりしたんだけど、全部裏目にでちゃったみたい。
__分かるわけないだろ!お前が!オレの気持ちなんて!分かるわけないだろ!
__あの日からずっと嫌いだ。あんな行動した意味分かんない兄ちゃんも、こうして能天気に話しかけてくるツグハも!
うん。分かんないよ。だってツグハは何かに熱中したこともなければ、目標を持ったこともない。だからコーラルの気持ちが分かんない。
でも何とか、少しくらい元気になってほしくて、それだけの気持ちだったのに。
「ツグハ何がダメだったのかなあ、全部ダメだったのかなぁ。だから友達できなくて、コーラルにも嫌われちゃったのかなぁ…。」
胸がとても苦しいです。顔が熱くて、視界がだんだんぼやけてきました。無意識に手をぎゅうっと力強く握っていたみたいで、手の平に爪が食い込んで少し痛いです。
ツグハって、人を不快にさせる天才だったのでしょうか。それとも、人として何か欠けているのでしょうか。何も分かりません。本当に、何も。