開幕
さやさやと、風が吹いている。春の匂いを運んでいる風が、はるとの白い頬を撫でて遠くに消えた。後を追う風は、吹いてこない。家路に急いでいていた足を再び進めた少年が、ふと目を空へ向けた。雲一つない空に、無数の光が四方に飛んでいくのが見えた。
―― 魔力を感じる光だった。その一瞬の光景に、はるとは小さく呟いた。
「……クロウ?」
ざわざわと風が、はるとの声に答えるように鳴った。それにふっと微笑んで「…ありがとう」と答えた。そして桜舞う道路をゆったりと歩き出して、香港に暮らす歳の離れた幼馴染の少年を思い出した。不機嫌そうな表情が脳裏に浮かび、ふふっと短く笑う。
これが、幼馴染の言っていた≪クロウ・カード≫の気配だとしたら、探しに飛んで帰って来る様子が浮かんだのだ。まだそうだとは分からないが、強い魔力を持ち、≪クロウ・カード≫を作ったクロウ・リードの遠戚に当たる李家に生まれ、そして彼の遺した羅針盤を持っている少年ならば、必ず今の光と魔力がなんなのか分かる。もしかしたら、近々電話がかかってくるかもしれないなと思った。
春のあたたかい陽射しを背中に感じながら、はるとは小さく呟いた。
「……また会えるかもな、小狼」
← →
―― 魔力を感じる光だった。その一瞬の光景に、はるとは小さく呟いた。
「……クロウ?」
ざわざわと風が、はるとの声に答えるように鳴った。それにふっと微笑んで「…ありがとう」と答えた。そして桜舞う道路をゆったりと歩き出して、香港に暮らす歳の離れた幼馴染の少年を思い出した。不機嫌そうな表情が脳裏に浮かび、ふふっと短く笑う。
これが、幼馴染の言っていた≪クロウ・カード≫の気配だとしたら、探しに飛んで帰って来る様子が浮かんだのだ。まだそうだとは分からないが、強い魔力を持ち、≪クロウ・カード≫を作ったクロウ・リードの遠戚に当たる李家に生まれ、そして彼の遺した羅針盤を持っている少年ならば、必ず今の光と魔力がなんなのか分かる。もしかしたら、近々電話がかかってくるかもしれないなと思った。
春のあたたかい陽射しを背中に感じながら、はるとは小さく呟いた。
「……また会えるかもな、小狼」