波乱の人生の段!

多い山茂った森の中に颯爽と駆け巡る一つの小さな景が存在していた。

その影の正体は二本の手足で地面を駆け巡り走っているのだ。
その姿はまるで‥‥そう人間が狼のような真似をしているかのようだった。

しかし、彼は真似をしているのではなく、実際に狼の子供なのです。

両親は父親が狼で母親が人間である。
そうハーフの子供なのだ。
だから普段落ち着いている時は尻尾や耳はしまうことが出来るのだがまだ、子供である彼は驚いたり集中力が途切れたりすると耳や尻尾が現れてしまうのです。

狼の子供だからと言って決して人間を襲ったりはしません。
母親から人間にその姿を見せてはいけないよと常に言われていたからである。

父上は、狩人の人に撃たれて僕が生まれる前に亡くなったのだと母上はどんな時でも微笑みを忘れずにいた。

人間なのに人間のいる街には行けずに裏裏裏山奥の森にひっそりと隠れ住んでいるのだ。

僕はたまに熊とかを倒して肉を母上にあげたりしている。
辛いはずなのに、泣きたいはずなのに母上は人間を恨んではいけないと言い聞かせるように言っていた
まるで口癖のように。

でも母上はもうこの世にはいない、山賊という人間の数人に僕が見つかってしまい捕まりそうなところで母上が殺されてしまったのだ。

悔しい‥‥悔しい‥‥

何も出来ない自分が悔しくてたまらない‥‥。


僕が「子供の姿じゃなかったら守れるのに!!」‥‥。
そう中身はもう大人なのだ。
生前の記憶を持っている。

生前生きていた僕は今から400年前の未来で過ごしていた。
ある日交通事故で死んでしまいいつの間にか輪廻転生をしていて

狼子供という不思議なポジションに転生をしたのだ。
それも室町時代と思われる時代に‥‥。
どうやらこの時代には忍びや侍、山賊や海賊が多数存在するらしい‥‥

僕が追われているのもそのうちの一人なのだろうと考えた。

でも血を流しすぎたのか走るにも子供の体力である今の身体では限界が近いようだ‥‥

すでに自分がいた森からかなり離れていて
恐らくここは裏山の中心部分だろうと思う。

それにしても‥

山賊「まてぇ〜!!」
  「逃がすなぁ〜!!」

僕の姿を見た山賊が珍しいと思ったのか高く売れるぞということで僕を必死にとらえようと追ってくる
お腹辺りに血がじわりと浮かんできてじくじくと痛みだす。

本当ならあんな人間かみ殺してやりたい!
でも母上はそんな僕を見たら悲しむ‥‥だろう
母上は優しい人だから‥‥。

僕を見たら絶対に怒ってくるに違いない‥‥

だから殺せない‥‥
僕は母上や父上のために生きなくては‥‥

ダァアアン
という一つの銃声が聞こえて僕の足から熱がこもるのと同時に激痛が走りグラリと倒れこむ。

「‥‥っぅ!!」

ドサッ‥‥

勢いよく地面に叩き込まれるようにして倒れる。
はぁ…はぁ…と肩で息をしながら背後を警戒する。

地面には血だまりが出来る。

山賊「よっしゃ!仕留めたぞ!!」
  「ったく手間を懸けさせやがって‥‥」

  「でも今回はいい獲物だから値がつきそうだぞ!」

と厭らしい笑みを浮かべながら武器を構える男ども。
「グルルル‥‥」

近づくなと警戒するように鳴いて見せるが彼らには意味がないようだ。

男が縄を出しながら近づいてくる。
もう駄目だ‥‥‥そう思いぎゅっと目をつむると

グワッという悲鳴が聞こえてきた‥‥

えっ!?
だれ!?

重たい瞼を開けるとぼやける視界の中で一人の男がまた新たに現れたかと思いきや武器を持った男たちを次々と鮮やかに倒していくではないか‥‥!

あっという間に数人を倒し終えた男がゆっくりと僕に近づいてきた‥‥

駄目だ‥‥目をつぶるな‥‥

相手は人間なんだぞ!?

起きろ!逃げろ!

「‥‥グルルル)」

?「大丈夫かい!?‥‥酷い怪我だ‥‥」

「‥‥がう!!」

噛みつこうと威嚇すれば男は怒りもせずに
優しく困った表情で僕に話しかける

?「大丈夫‥‥私は君の味方だ‥‥何もシタリはしない

手当てをしたいだけだ‥‥」

「‥‥グルルル‥‥」

信じられない‥‥人間は母上を殺したんだ!父上も!
でも身体は限界を超えていた。
重たい瞼が意志とは逆にドンドン閉じられていく。

男が何かを言っているが僕にはもう‥‥聞こえていなかった。